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円高株安、どこまで? 一時1ドル140円台、日経平均は3万6,000円割れ(窪田真之)

トウシル / 2024年9月12日 7時0分

円高株安、どこまで? 一時1ドル140円台、日経平均は3万6,000円割れ(窪田真之)

円高株安、どこまで? 一時1ドル140円台、日経平均は3万6,000円割れ(窪田真之)

 11日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比539円安の3万5,619円となり、再び、安値を試しているようにも見える状況です。一時1ドル=140円台後半を付けた円高が嫌気されています。今期(2025年3月期)の日本企業の業績予想の前提は1ドル=145円前後が多いことを考えると、それを超える円高が進んでいることが、業績の下方修正要因になる可能性もあります。

日経平均株価週足:2024年1月4日~9月11日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所作成

 今年の日経平均は7月11日まで「円安株高」局面が続いていました。ところが、1ドル=161円台、日経平均は4万2,224円を付けた7月11日を境に、「円高株安」局面に転換しました。急激な円高が進むとともに、円高で企業業績が悪化する懸念が出る日本株が売られ、日経平均が急落しました。

 今後、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)は利下げを続けていくことはほぼ確実です。一方、日本銀行は利上げスタンスを維持しています。日米金利差の縮小を見つつ、さらなる円高が進む可能性があります。

 日経平均は、8月5日に一時3万1,458円まで下落していますが、これは海外投機筋による日経平均オプション取引解消によって起こった「過剰反応」と考えています。この急落・急騰はオプション絡みの特殊な取引で引き起こされたもので、経済実態を映したものではありません。

 これについて詳しい説明をお読みになりたい方は、以下のレポートを参照してください。

3分でわかる!今日の投資戦略 2024年9月2日:令和のブラックマンデー続報、歴史的暴落にプット売りが影響(窪田真之) 

米景気は「ソフトランディング?ハードランディング?」議論続く

 過去2年以上にわたって、減速しつつある米景気が、ソフトランディング(軟着陸)するかハードランディング(急速な失速)となるか【注】、議論が続いていますが、いまだに結論は出ていません。

【注】米景気ソフトランディングかハードランディングか

◆ソフトランディング・シナリオ:米景気は減速が続くものの景気後退に至ることはなく堅調に推移するシナリオ。米金利低下にともなって1ドル=140円前後に円高が進むものの、それ以上の急激な円高にはならず。日本の景気・企業業績は緩やかな拡大が続く。

◆ハードランディング・シナリオ:米景気が今後さらに冷え込み、景気後退局面に入る。FRBは急激な利下げを迫られ、1ドル=120~130円へ円高が進む。日本の景気も腰折れし、企業業績は減益となる。

 私は、メイン・シナリオとして、米景気ソフトランディングを予想しています。従って、日経平均は既に下げ過ぎで、ここは日本株の良い買い場と見ています。ただし、私の米景気の見方が正しいとは限りません。リスク・シナリオとして米景気ハードランディングの可能性もあります。

米景気は減速しつつある

 それでは、足元、どれだけ米景気が弱含んでいるか確認しましょう。9月に入って発表された、8月の雇用統計・ISM景況指数は、米景気軟化を示すものですが、景気後退に向かっているとまでは判断されません。

【1】8月のISM景況指数は製造業が50割れ

 かなり弱く見えるのが、ISM景況指数です。50を割ると景況が悪いと判断しますが、9月に発表された8月の製造業景況指数は、前月比0.4ポイント上昇して47.2となりました。50割れが続いています。

 ただし、8月ISM非製造業景況指数は、前月比0.1ポイント上昇して51.5となりました。米国は製造業が早くから空洞化しているので、製造業が50を割っても非製造業が高ければ、米景気は堅調を保ちます。8月は、非製造業がかろうじて50を上回っています。

ISM製造業・非製造業景況指数:2020年1月~2024年8月

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

【2】雇用が緩む

 人手不足が続き、雇用はひっぱくが続いてきましたが、8月は緩む兆しが見えています。完全失業率は前月比0.1ポイント低下して4.2%となりました。非農業部門の雇用者増加数は20万人を割ったままで、8月は前月比14.2万人の増加でした。

完全失業率:2021年1月~2024年8月

非農業部門の雇用者増加数(前月比):2021年1月~2024年8月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

 米景気の先行きについて、結論が出るのは、まだまだ先になりそうです。

 日本株の投資判断ですが、私は「買い場」と考えていますが、短期的にさらなる下値が続くリスクもあります。短期的な相場見通しに賭けることなく、時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えます。

 最後に「株トレ」新刊出版のお知らせです。私の新刊がダイヤモンド社より8月1日に出版されました。

 一問一答形式で、株式投資のファンダメンタルズ分析を学ぶ内容です。

(窪田 真之)

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