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予想利回り6.0%!インバウンド需要で盛り上がるホテルリートを「買い」と考える理由(茂木 春輝)

トウシル / 2024年12月19日 8時0分

予想利回り6.0%!インバウンド需要で盛り上がるホテルリートを「買い」と考える理由(茂木 春輝)

予想利回り6.0%!インバウンド需要で盛り上がるホテルリートを「買い」と考える理由(茂木 春輝)

ホテル主体型リートのインヴィンシブル投資法人

 インヴィンシブル投資法人(8963)(2024年12月18日終値:6万5,200円)は、Jリート(ジェイ・リート:国内の不動産投資信託)の一つで、保有する物件はホテル93.7%、住居5.9%、商業施設などその他0.4%と、ホテル主体型のポートフォリオとなっています。

インヴィンシブル投資法人 用途別投資比率

インヴィンシブル投資法人 用途別投資比率
出所:インヴィンシブル投資法人ホームページより作成(2024年10月31日時点取得価格)

 以前は「東京グロースリート投資法人」というJリートでした。2010年2月1日に「エルシーピー投資法人」と合併し、現在の「インヴィンシブル投資法人」へ商号変更しました。当初は住居を中心とした総合型リートでしたが、2014年から需要拡大を見込みホテル取得を開始し、現在はホテル主体型Jリートで最大のポートフォリオとなりました。

インヴィンシブル投資法人(投資口価格)チャート:2014年1月~2024年12月18日

インヴィンシブル投資法人(投資口価格)チャート:2014年1月~2024年12月18日
出所:楽天証券マーケットスピードIIより作成

 まずインヴィンシブル投資法人の2014年以来10年間の価格推移について説明します。2014年にホテル取得を拡大して以降、価格は大きく上昇し、2016年4月に8万8,400円の高値を付けました。

 その後は増資などを経て価格は下落し2019年には予想分配利回りが4.8%程度でしたが、2020年のコロナショックによって価格は下落。ホテルの利用減少によって分配金も減り一時は利回りが1%未満で推移していました。現在はインバウンド増加を追い風に価格と分配金ともに上昇しており2024年12月18日終値で6万5,200円、予想分配利回り6.0%と高水準です。

インヴィンシブルを「買い」と判断する三つの理由

 インヴィンシブルの予想分配金利回りは6.0%と魅力的です。投資銘柄を選別する際に大切なことは、安定的に分配金を出し続ける力があるか、判断することです。

 以下3点から、私はインヴィンシブルが安定的に分配金を出す力があると判断しています。

【1】インバウンドの増加でホテル事業が好調
【2】高い稼働率とRevPAR
【3】安定した財務戦略

 それぞれの理由について、以下、詳しく解説していきます。

【1】インバウンドの増加で宿泊施設が好調

 初めに国内インバウンドの状況について、説明いたします。

 訪日外国人数は、以下のグラフで示す通りコロナショックで一時激減しましたが、今年は見事な復活を遂げました。2024年には、訪日外国人観光客数がコロナ前のピークだった2019年を超えて、過去最高となる見込みです。来年以降も高水準で推移するとみています。

訪日外国人観光客数:2003~2024年(1~9月)

訪日外国人観光客数:2003~2024年(1~9月)
出所:日本政府観光局(JNTO)より作成

 増えるインバウンドによって活況なのが宿泊事業です。タイプ別の宿泊施設稼働率は以下の通り推移しています。

タイプ別 客室稼働率(全国・従業員10人以上施設)2018~2024年(1~9月)

タイプ別 客室稼働率(全国・従業員10人以上施設)2018~2024年(1~9月)
出所:国土交通省 観光庁 宿泊旅行統計調査より作成

「旅館・リゾートホテル」と「ビジネス・シティホテル」で水準に差はありますが、コロナショックで一時ビジネスホテル以外は稼働率10%以下まで下がり、今年にかけて2019年以前に近い水準まで宿泊施設全体が回復しています。

 インヴィンシブルはこのように好調な宿泊需要の中で、高い稼働率の宿泊特化型のビジネスホテルと多様なニーズに応えるフルサービス型のシティホテルとリゾートホテルにバランス良く投資しています。今後もコロナショックから回復したインバウンド需要と宴会・会議などの非宿泊需要を取り込み収益が拡大すると考えられます。

【ご参考】宿泊施設タイプについて国土交通省 観光庁では以下の定義としています。
旅館:和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所以外のもの
ホテル:洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所以外のもの
さらに以下の定義により3種類に分類しています。
(1)リゾートホテル:ホテルのうち行楽地や保養地に建てられた、主に観光客を対象とするもの
(2)ビジネスホテル:ホテルのうち主に出張ビジネスマンを対象とするもの
(3)シティホテル:ホテルのうちリゾートホテル、ビジネスホテル以外の都市部に立地するもの

【2】高い稼働率とRevPAR

 インヴィンシブルのホテル客室稼働率とRevPAR(販売可能な客室1室あたりの収益を表す値)は以下の通り推移しています。

インヴィンシブル投資法人 客室稼働率とRevPARの推移2018~2024年(1~10月)

インヴィンシブル投資法人 客室稼働率とRevPARの推移2018~2024年(1~10月)
出所:インヴィンシブル投資法人ホームページより作成

 コロナショックで落ち込んだ稼働率ですが、現在は回復してRevPARはコロナショック前の水準を超えて上昇しています。稼働率とRevPARのどちらも上がっていることから、稼働率を維持したまま収益性を向上できていることが見て取れます。

【ご参考】RevPARとは
RevPAR(Revenue Per Available Room)は、ホテル業界で広く使用される指標の一つで、客室稼働率当たり収益の指標です。この指標は、ホテルの収益性を評価するために使用され、特に客室の稼働率と平均客室単価(ADR: Average Daily Rate)を組み合わせたものです。
RevPARの計算方法は以下の2通りです。
・RevPAR = 平均客室単価(ADR) × 客室稼働率
・RevPAR = 総客室収入 ÷ 利用可能な客室数
ホテルは安売りすると客室稼働率は上がる一方で、客室単価が下がってしまいます。RevPARは平均客室単価と客室稼働率のバランスをとって、ホテルがどれだけ効率的に収益を上げているのかを確認する指標となります。

【3】安定した財務戦略

 インヴィンシブルは、安定した運用のために資金調達手段を多様化し、借入期間の長期化・返済期限の分散化をする財務戦略をとっています。

 資金調達の多様化について2024年2月にはインヴィンシブルで初めて個人投資家向けの投資法人債を60億円発行し、同年3月には株式会社日本格付研究所の信用格付がA(ポジティブ)からA+(安定的)に格上げになりました。

 借入期間について以下のグラフをご覧ください。縦軸が金額、横軸が有利子負債の返済期限となっています。

インヴィンシブル投資法人 有利子負債返済期限(2024年8月26日時点)

インヴィンシブル投資法人 有利子負債返済期限(2024年8月26日時点)
出所:インヴィンシブル投資法人 決算資料より作成

 グラフのように有利子負債の返済期限は広く分散されており、平均残存年数は2023年12月末時点の2.4年から2024年8月26日時点で3.5年に長期化されました。

 安定した資金調達を実現する財務戦略は、日銀がマイナス金利を解除した「金利のある世界」において重要です。収益性を高める継続的な投資を可能にし、分配金の安定につながると考えています。

 以上でインヴィンシブルを買いと判断する理由の説明は終わりです。以下、Jリートについてよくご存じでない方のために、Jリートとは何かご説明いたします。

不動産への小口投資が可能なリート

 REIT(リート:不動産投資信託)はReal Estate Investment Trustの略です。日本国内のREITは「J」を付けてJ-REIT(ジェイリート)と呼ばれています。

 リートは不動産への小口投資を可能にした「上場投資信託」で、証券取引所に上場された一般の株式と同じように売買できる商品です。

定期的に分配金を受け取れる

 Jリートの特徴の一つは分配金です。投資法人として利益の90%以上を分配することで実質的に法人税を免除されるので、収益の大半が分配金として投資家に支払われます。そのため分配金利回りが高く、東証に上場する全Jリートの平均分配金利回り(加重平均)は5.1%(12月18日時点)です。

 ただし、確定利回り商品では無いため業績が悪化すれば分配金が引き下げられ、利回りが下がるだけでなく価格も下がるリスクがあります。その意味では「株」に近い商品です。

 リスク管理上、Jリートは、「日本株」と「国内債券」の中間的運用商品として扱う必要があります。

リートに投資して分配金を受け取る流れ

リートに投資して分配金を受け取る流れ
出所:楽天証券作成

 個人投資家が不動産に投資する場合、ワンルームマンションからアパート1棟までさまざまな投資対象がありますが、ローンを組むとしても大きな金額になります。資金規模の制約から、個人投資家が直接投資できる対象は限られます。

 一等地の大型ビルにテナントが集中し、競争力のないビルからテナントが流出する「不動産の二極化」が顕著にみられる時代になりました。投資するならば、一等地の大型ビルに投資したいと考えます。

 ところが、リートが普及するまでは、一等地の大型ビルに投資するには何百億円という規模の資金が必要でした。個人投資家の不動産投資では、小口で投資できるマンションなどが中心になり、大型ビルへの投資は困難でした。リートの普及によって、状況が変わりました。今では、小口資金でも、リートを通じて大型ビルに投資することもできるようになりました。

Jリートには、さまざまな種類がある。代表銘柄を紹介

 Jリートには、さまざまな種類があります。もともとは、オフィスビルや住宅・マンションに投資するファンドがほとんどでしたが、近年は、ホテルから物流施設まで利回りが稼げるさまざまなものに投資されています。

 ホテル、オフィスビル、物流施設、商業施設、住居などに投資する代表的銘柄は、以下です。

Jリートの参考銘柄:2024年12月18日時点

コード 銘柄名 主な
投資対象
分配金
利回り
(年率:会社予想)
最低
投資額(円)
8963 インヴィンシブル投資法人 ホテルなど 6.01% 6万5,200
8951 日本ビルファンド投資法人 オフィスビル 3.90% 12万2,800
8952 ジャパンリアルエステイト投資法人 オフィスビル 4.54% 53万9,000
3234 森ヒルズリート投資法人 オフィスビル 5.07% 12万1,400
3281 GLP投資法人 物流施設 5.45% 12万1,200
3283 日本プロロジスリート投資法人 物流施設 4.62% 22万1,200
3466 ラサールロジポート投資法人 物流施設 5.69% 13万8,700
3292 イオンリート投資法人 商業施設など 5.44% 12万3,000
3269 アドバンス・レジデンス投資法人 住居 4.14% 28万5,900
出所:QUICKより楽天証券作成(分配金利回りは12月18日時点の1口当たり分配金(会社予想)を同日のREIT価格で割り、年率換算して計算)

小口からの分散投資が可能な商品

 Jリートは各投資法人を選ぶ個別銘柄以外に、複数の銘柄に投資できる投資信託や、Jリートの指数に連動したETF(上場投資信託)があります。

 投資口価格が安い銘柄であれば数万円から買えるJリートですが、複数の銘柄を組み合わせると投資額が大きくなります。その場合ETFや投資信託は比較的少額からの分散投資が可能です。時間分散したい方は積立や複数回に分けた投資も可能です。

【参考】Jリート関連投資商品例

投資信託(当社ではクレジットカード決済、楽天キャッシュ、楽天ポイントで購入可能。以下はNISA成長投資枠対応)

「Smart-i Jリートインデックス」
「野村Jリートファンド」

ETF

「NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信」(1343)
「MAXIS Jリート上場投信」(1597)

(茂木 春輝)

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