自動車セクター
トウシル / 2024年12月26日 16時0分
自動車セクター
2025年は新車販売減速へ、新エネ車のマス市場では勢力図に変化も
中国の自動車セクターは国内の新車需要の先食いと欧米の輸入関税引き上げにより、2025年には逆風に直面する可能性が高い。BOCIは政府が買い替え補助金制度(2024年末まで)を延長したとしても、2025年には乗用車販売が減速するとみている。9月以降の自動車株の上昇局面は、2025年1-3月期の売上高の下押しをきっかけに反転する可能性があると指摘。長期投資家にとっては、これが小米集団(01810)、吉利汽車(00175)、理想汽車(02015)など、優良銘柄の買いチャンスにつながるとしている。
BOCIは国内の需要先食いと地政学的な保護主義の高まりによる輸出への逆風に言及し、仮に買い替え補助金制度が延長されたとしても、乗用車全体の2025年の販売台数はほぼ前年並みの2,800万台にとどまるとみている。タイプ別では、新エネルギー車(NEV)の乗用車販売台数が前年比21.5%増の1,500万台に達すると予想。一方のエンジン車(乗用車)は減少率が加速するとみて、前年比で2桁減を見込む。
新車販売全体に占めるNEVの比率が50%を超える中、2025年には一部価格帯で新たなストーリーが生まれる見込み。20万元以下のNEVのマスセグメントでは現在、BYD(01211)以外にコスト競争力のあるメーカーが見当たらず、事実上、競争環境が存在しなかったが、BOCIは今後の状況の変化を予想。コスト優位のメーカーや自動運転技術で先行するメーカーの本格参入により、勢力図が変化するとみる。BYDのライバルとなり得るのは、例えば吉利汽車(00175)のように、自前で主要電気部品を生産し、価格面でガソリン車並みを実現できる従来型自動車メーカー。もう一つは小鵬汽車(09868)など、AD(自動運転)技術に優れ、マス市場におけるAD価格の引き下げを主導するNEV新興メーカーになるという。
自動運転技術の面では、BOCIは現在すでに、L2(レベル2)からL3への移行期にあるとの認識。これにより、エンドツーエンドのAD技術の開発やフルスタックの自社開発能力の構築が加速し、NEVメーカーの技術格差が広がるとみる。また、L3への移行により、LiDAR(光照射による検知・測距技術)の採用が加速。「ステアリング・バイ・ワイヤ(電気信号によるタイヤの操舵)」技術の初期的な導入も加速するとしている。
一方、輸出は2025年に、追加関税などの逆風に直面する見込み。ただ、大手メーカーは現地生産化と製品ラインアップの拡充を通じ、グローバル化を推進する方針という。
BOCIは2025年1-3月期の新車販売の減速が投資心理を悪化させる可能性を指摘しながらも、これが優良銘柄の買い場につながるとの見方。半面、短期投資家、特に国有メーカー株の保有者に対しては、当面のファンダメンタルズの改善は期待しにくいとみており、利益確定売りを検討するよう助言している。
(Bank of China int.)
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