マイホームは人生最高額の買い物!払いきれるのか?<6-5>夫婦、住宅費を考える
トウシル / 2024年12月27日 16時0分
マイホームは人生最高額の買い物!払いきれるのか?<6-5>夫婦、住宅費を考える
これまでのあらすじ
信一郎と理香は小学生と0歳児の子どもを持つ夫婦。第二子の長女誕生と、長男の中学進学問題で、教育費の負担が気になり始め、毎週金曜夜にマネー会議をすることになった二人。息子の進学に合わせて住宅探しを始めた二人は、条件に比較的近い物件を見つけたのだが…
「7,000万円かぁ…。さすがに腰が引ける額ね…」
信一郎と理香は、物件パンフレットをめくりながら、がっくりと頭を垂れた。
不動産会社訪問から数カ月のうち、何件かモデルルームや実際の物件を見てきた夫婦は、立地、間取り、環境など、二人がリストアップした条件にぴったりの物件を見つけていた。1年半後の春、竣工予定の新築マンション。二人の通勤先へもアクセスが1時間以内、健の合格圏内にある2校とも45分以内で通学できるZ駅近くの3LDKだ。1駅隣に大きなショッピングモールがあり、駅前にも複数のスーパーやコンビニがある。モデルルームも複数回訪問し、間取りも確かめた。何より、竣工が1年半後、というのが二人が最も気に入っている点だ。
「小学校は最後まで転校ナシで通わせてやりたいよ。やっぱり修学旅行は今の友達と行きたいだろうしなぁ…」と信一郎がうなる。
「そうね。美咲が小学校に上がるまでに、保育園のママコミュニティに割り込める時間があるのもナイスなのよ」と理香も言う。小学校に上がるときに、保育園の友達がいるのといないのとでは、美咲にとって大きな違いだ。できれば仲良しの友達がいる環境を作ってやりたい。
二人の住宅プランの最重要ミッションが「子供の学校環境の最適化」である点を考えても、この物件は見逃しがたいのだ。
ただ、たった一つ、「価格」が、当初の想定の5,000万円を大きく超えてしまう、という現実に突き当たり、二人は決断を迷っていた。
「家の[出口戦略]を考えると、これぐらいの価格でもアリ…なのかしら」
「そうだな。最低でも、美咲が大学卒業まで住み続けることを考えたら、築浅か、新築の、将来[売れる]物件のほうがいい」
とにかく心配なことを書き出してみよう。そう言って信一郎がノートを開く。
・夫婦の収入で支払いきれるのか ・住宅ローンの審査は通るのか ・どの住宅ローンがいいのか ・二人に「万が一」のことがあったら返済しきれるのか ・教育資金は確保できるのか ・老後の資金は残るのか |
「不安なことは、大きく分けると、[支払い中の余裕]と[支払い後の余裕]の二つだな」
信一郎の言葉に、理香はウンとうなずいた。
「僕はとにかく、住宅ローンについて知識がまったくないのが不安だよ」
ペンを投げて信一郎が天を仰ぐ。
「私も。これはもう、プロに教わるしかないわね…。ねえ、もう一度、FPさんに相談しに行ってみない?」
不動産会社がくれたパンフレット一式には、住宅ローンの例もいくつか掲載されているが、その違いすらイマイチぴんと来ていない二人だ。
「あのFPさんは、[もっとお金を使ってもいいし、ローンは75歳まで返済を伸ばしてもいい]って言ってたよね」
前回、FPに算出してもらったマネー&ライフプラン
試算はあくまでも「試算」であって、あの結果に縛られる必要はない、とFP氏が言っていたのを思い出し、信一郎は勇気を振り絞ってパンフレットをもう一度見た。
「これ、そのまんま持って行って、相談に乗ってもらおうよ。きっと僕たちみたいな相談、いっぱい受けてるはずだ」
夫婦の収入から見てこの物件と価格は妥当なのか、月々いくらなら生活を切り詰めずに新生活をスタートできるのか…。不安は募るばかりだが、数字を見れば安心もできるし、買う・買わないという決断の根拠にもなる。
「僕たちに必要なのは、覚悟や不安じゃなくて、確かなエビデンスだよ。数字でしっかり確認しに行こう」
二人は大きくうなずく。分からないからこそ不安だけが募るのだ。実際、前回ライフプランを立ててもらったことで、その時に抱えていた「教育費」と「老後」の不安は取り除かれ、支出に臆病になりすぎず、投資にも前向きになれた。
翌日、信一郎は会社の福利厚生の一環である「FP相談」に再度申し込みを済ませた。夫婦は、相談に必要な、具体的な資料をそろえ始めた。
アメリカは経済成長が続いており、インフレの国でもあるので、基本的には土地の値段は上がり続けてきています。
アメリカ人も「人生で3回家を買い替える」と言われるぐらい、若い時に小さな家を買い、値段が上がってくると、その家を売って大きな家に買い替えていきます。そして、リタイア後には、「リバースモーゲージ」を使って豊かな老後生活をエンジョイしています。
「リバースモーゲージ」とは、現在住んでいる自宅を担保に金融機関からお金を借りる仕組みです。一般的な住宅ローンと異なり、返済は原則として死亡時に行い、それまでは自由に使える資金を得られます。その資金を老後の生活費や医療費などに充てることができ、特に固定収入しかない高齢者にとっては大きな魅力となっています。
日本でも「DIE WITH ZERO」という本がベストセラーになりました。この本には「人生は思い出を作るためにあって、漠然とした将来不安のためにリタイアした後に、お金を使わずに亡くなっていくのはもったいない」ということが書かれています。
特に私がこの本の中で好きなのは「80歳でスノーボードはできないが、60歳ならできる」というフレーズです。まさにリタイアした後の60歳代から70歳代前半までは健康で時間もあるので、今まで貯めてきた資産などを運用して、そのリターンで楽しい思い出をつくるべきなのです。
そのために、アメリカ人は運用資産を取り崩していったり、リバースモーゲージでお金を借りて人生をエンジョイしています。
日本でもそうした考えを持っている方も多く、私の知り合いは60歳できっぱりと会社を辞め、目の前に海が見える中古のマンションを買いました。そして一定金額を運用に回し、年金と運用資産から得られるリターンで、年に数回の海外旅行や夫婦でカヤックやゴルフを楽しんでいます。そして、二人いる子供たちも独立しているので、そこへの支援の必要もありません。
こうした生活ができるかどうかは、資産の多い少ないではなく、きっちりとファイナンシャルプランを作り、将来の資産推移をシミュレーションし、自分がやりたいことを実現していくプランを立てて実行できるかどうかによります。
子供に遺すことを考えるより、まずは皆さん自身がリタイア後の人生を最大限楽しむことを考えてください。そのために、お金があり、そのために、運用するのです。
住宅購入、「頭金」はいくら用意すればいい?<7-1>夫婦、住宅ローンを学ぶ
(中桐 啓貴)
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