【2024年金融・経済10大ニュース:2位】米国大統領選、トランプ氏が再選。次期政権にイーロン・マスク氏
トウシル / 2024年12月27日 20時0分
【2024年金融・経済10大ニュース:2位】米国大統領選、トランプ氏が再選。次期政権にイーロン・マスク氏
2024年10大ニュースTOP10をアンケート集計!
2024年は投資家にとってどんな年だったのでしょう? トウシルはこのほど、お金の専門家や個人投資家が選ぶ「2024年金融・経済10大ニュース」を決定しました。
プロのアナリストや、投資で成功を収めた個人投資家の目には、今年1年がどのように映ったのか。株式市場に影響を与えた10大ニュースを振り返り、新年の幕開けに備えましょう。
【アンケート実施方法】トウシルが選んだ32の金融・経済ニュースの中から、「特に重大」と思うニュース1~5位の回答を得た。1位に5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点と配点し、アンケート結果を集計した。アンケート期間は12月4~11日。
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2位:米国大統領選、トランプ氏が再選。次期政権にイーロン・マスク氏
2024年11月5日の米国大統領選挙で第47代米国大統領に選出された共和党のドナルド・トランプ氏。
民主党の現職副大統領だったカマラ・ハリス氏を相手に当初は混戦も予想されましたが、ふたを開けてみれば、選挙が行われた5日火曜日の翌日6日水曜日朝(日本時間午後9時ごろ)にはトランプ氏当確の報道が流れるほどの圧勝でした。
トランプ氏が多くの支持を集めた要因は、カマラ・ハリス氏が現職の副大統領で、バイデン現政権下で発生した物価高や不法移民の流入、治安の悪化に対して無策だったことがあげられます。
減税や規制緩和など株価にフレンドリーな政策を掲げるトランプ氏の大統領再選は、株式市場が待ち望んだものでもありました。
6月には、当初民主党候補だったバイデン現大統領と共和党候補のトランプ前大統領による初のテレビ討論会が開催されました。
その席で頻繁に言葉に詰まるバイデン大統領の高齢問題がクローズアップされ、一気にトランプ次期大統領誕生が現実味を帯びました。
7月にはペンシルベニア州で演説中のトランプ氏を狙った銃撃事件が発生。右耳を負傷したものの、奇跡的に難を逃れたトランプ氏のテロに負けない不屈の闘志が米国民の心を打ち、トランプ氏の支持率が跳ね上がりました。
「トランプ・ラリー」に沸く株式市場。金融、軍事関連株などが上昇
6月のテレビ討論会以降、トランプ氏の政策に沿った銘柄が上昇する「トランプ・ラリー(株価上昇)」が米国の株式市場を席巻しました。
当初はトランプ氏が掲げる規制緩和の好影響を受ける金融株、暗号資産関連株、軍事関連株、中小型の成長株が好んで買われる展開になりました。
その一方で「台湾は米国の半導体ビジネスを全て奪った」といった過激なトランプ発言をきっかけに、半導体関連株が世界的に急落する時期もありました。
7月には支持率でトランプ氏に大差をつけられたバイデン現大統領が大統領選から撤退。副大統領であるカマラ・ハリス氏が民主党の大統領候補に指名されました。
一時はトランプ氏と支持率がきっ抗するほどでしたが、選挙戦終盤でトランプ氏が巻き返し、圧勝という結果で終わりました。
さらに、議会上院・下院も共和党が過半数を握る「トリプルレッド(レッドは共和党を象徴するカラー)」を達成。トランプ氏が掲げる政策は議会を速やかに通過して実現しやすい体制が整いました。
テスラCEO・イーロン・マスク氏を助言役に起用
この圧勝劇を受けて、米国株全てが上昇するトランプ・ラリーが再来。
中でも急騰したのは、選挙期間中トランプ氏を熱烈に応援したイーロン・マスク氏がCEO(最高経営責任者)を務める電気自動車メーカーのテスラ(TSLA)でしょう。
テスラの株価は大統領選当日始値から12月13日終値までの約2カ月で76%上昇し、12月11日には3年1カ月ぶりに最高値を更新しています。
イーロン・マスク氏自身も、政府予算の効率化に関する助言役として起用されました。トランプ政権で新設される「政府効率化省」のトップにつき、政府支出2兆ドル削減という目標に向けて構造改革に取り組みます。
懸念は高額関税によるインフレ再燃。「3-3-3」政策で米国株高に期待
トランプ氏が掲げる政策は減税や中国、メキシコ、カナダに対する高額関税、安価な労働力ともいえる不法移民の強制送還など、沈静化しつつある米国の物価高を再燃させるものが目立ちます。
そのため、トランプ氏が大統領に選出された11月には米国の長期金利の指標となる10年国債の利回りが一時4.5%台をつけるなど、株価の大敵である金利の上昇が続いています。
しかし、トランプ氏は11月、ウォール街で長年、投資ファンドを運営してきたスコット・ベッセント氏を財務長官に起用しました。ベッセント氏は日本の安倍晋三元首相が提唱したアベノミクスの「3本の矢」政策から着想した「3-3-3」政策を提唱しています。
三つの「3」は、「2028年までに財政赤字をGDP(国内総生産)比で3%に削減」「規制緩和によってGDP成長率を3%台に伸ばす」「原油生産を日量300万バレル相当まで増やす」というものです。
この3-3-3政策にはインフレ抑制効果があることから、S&P500種指数、ダウ工業株30種平均、ナスダック総合指数の米国株主要3指数は連日のように史上最高値を更新しています。
2025年1月20日から始まるトランプ次期政権にとって「米国株高」は国策と呼んでいいもの。2025年も米国株の動きから目が離せません。
高額関税を課せられる中国や、その中国が最大の貿易国である日本が恩恵にあずかれるかどうかは分かりません。日本株は米国株次第と言ったところかもしれません。
回答者のコメントは?
専門家からは、トランプ次期政権の良い面、悪い面についてコメントが集まりました。
「米国で立法、行政、司法を抑える『トランプ王国』の誕生が決まり、2025年の米国株式が上下に揺れながら強気相場を継続するとの見方が強まった。一方で、米国の中国に対する外交姿勢が一段と強硬になると考えられ、『新・冷戦』の中で踏み絵を試される日本市場と企業業績への影響が懸念される」(香川睦さん)、「トランプ再選は世界経済、地政学情勢にとってもあらゆる不確実性を注入し得る」(加藤嘉一さん)、「トランプ2.0は、四半世紀、半世紀にわたる米国の国際的地位、国際政治・経済、地球環境など世界の地殻変動を招くかもしれない」(田中泰輔さん)など、関心度の高さが分かります。
個人投資家の多くは、「トランプ氏とイーロン・マスク氏は素晴らしいコンビだと思います。真摯(しんし)に『アメリカン(自国)ファースト』を貫く姿は日本も見習ってほしい!」(ようこりんさん)、「今後4年間の米株高を予期させる選挙結果だった」(たぱぞうさん)など肯定的な意見が目立ちました。
ハッサクさんは、「影響が大きくなるのは来年1月に実際に就任してから。就任後、再度トランプ・トレード(金利高、ドル高)の動きが起こるのかどうか注目しています」と、新年早々の動きを注視しているようです。
アンケート結果は以上です。トランプ次期米国大統領の就任を先取りする形で米国株は急騰していますが、その勢いが2025年1月20日の就任式以降も続くかどうかに注目です。
ただ、前回トランプ氏が大統領だった2017年1月始値から2021年1月終値の約4年間で、S&P500はトランプ氏の過激な政策や発言などで乱高下しつつも65%も上昇しています。今回もその再来を望みたいところです。
アンケート協力※50音順
個人投資家:えま、エル、カブ主優待ライダー、すぽ、たぱぞう、DUKE。、DAIBOUCHOU、弐億貯男、バンクアカデミー、ぽんちよ、ほっすん、まる子、むらやん、虫とり小僧、はるあき、ようこりん、Rょーへー
専門家:株式コメンテーター・岡村友哉、マリン・ストラテジーズ シニアマーケットアナリスト・香川睦、パラソル総研 執行役員副社長兼フェロー・倉持靖彦、金融文筆家・田代昌之、ハッサク
楽天証券経済研究所:チーフエコノミスト・愛宕伸康、客員研究員・加藤嘉一、チーフ・ストラテジスト・窪田真之、客員研究員・田中泰輔、コモディティアナリスト・吉田 哲
(敬称略)
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(トウシル編集チーム)
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