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猫と犬、金(ゴールド)とプラチナ、どっち?

トウシル / 2025年1月14日 7時30分

猫と犬、金(ゴールド)とプラチナ、どっち?

猫と犬、金(ゴールド)とプラチナ、どっち?

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の吉田 哲が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
猫と犬、金(ゴールド)とプラチナ、どっち?

猫と犬の伝統的なイメージ

 猫は、古代エジプトで穀物を食い荒らすネズミや害虫を退治する「守護の力」を持つ存在として重用されました。家の中で飼われるようになった最初の動物の一つとされていますが、人々との関わりは比較的独立的で、敬意と崇拝の対象でもありました。

 現代でも、世界各国で猫は美しさやきらびやかさ、神秘性を象徴する存在として、そして自由で気まぐれな性格を持ちながらも、身近で愛される存在として、人間の生活に溶け込んでいます。

図:猫の伝統的な特徴

猫の伝統的な特徴
出所:筆者作成 イラストはPIXTA

 犬は、人間が家畜化した最初の動物とされ、狩猟や防衛、家畜の番など、人間の暮らしを支え続けてきました。伝統的に、犬が持つ忠実さや信頼性、器用さが、多くの場面で社会発展の一助となりました。現代でも、忠犬の物語や災害救助の場面で活躍するなど、人間にとって忠実で献身的な頼れる存在です。

図:犬の伝統的なイメージ

犬の伝統的なイメージ
出所:筆者作成 イラストはPIXTA

 上記は伝統的な経緯を考慮した猫と犬のイメージです。技術革新によって人間の多彩な願望が実現しやすくなっている現代では、膨大な種類の猫と犬が存在するため、このイメージに合わない場合もあります。本レポートでは伝統的なイメージを元に話を進めます。

金(ゴールド)とプラチナのイメージ

 金(ゴールド)は、美しく妖艶な輝きを放ったり、神秘的な雰囲気を醸し出したりして、古代から人々を魅了してきました。そして、柔らかく加工しやすい特性が生かされ、世界各地で装飾品に用いられてきました。しばしば崇拝の対象となるなど、人間にとって伝統的に特別な存在だと言えます。

図:金(ゴールド)の特徴

金(ゴールド)の特徴
出所:筆者作成 イラストはPIXTA

 金(ゴールド)は、近代において金本位制の下、その価格が安定的に管理されていた時期がありました。しかし、1971年のニクソンショックで金本位制が終焉(しゅうえん)を迎えると、価格の推移は市場に委ねられるようになりました。

 ものの本では、金(ゴールド)は安全資産や安定資産と評されることがありますが、しばしば価格は激しく動きます。また、株と金(ゴールド)の値動きは逆相関、ドルと金(ゴールド)の値動きは逆相関などと書かれていますが、特に近年は株と同時に上下、ドルと同時に上下するケースが頻発しています。

 また、プラチナは、厳しい環境下で真価を発揮する強靭(きょうじん)さと多機能さが評価され、社会が発展する過程の重要な場面で使用されてきました。特に耐久性と化学的な安定性が求められる産業分野での活躍が目立っています。(触媒作用がある、融点が高い、酸などに溶けにくいなどの性質がある)

 産業用途での需要が多いため、価格動向はその時の景気動向に依存することがあります。19世紀まではほとんど注目されていませんでしたが、20世紀後半から2000年代にかけて、触媒作用を利用した自動車の排ガス浄化装置向けの需要が増加し、一時的に価格が大きく上昇したことがありました。

 しかし近年は、ドイツの自動車大手の不正が発覚し(2015年)、同需要が減少する思惑が発生したことを受け、低い水準で安定して推移しています。

図:プラチナの特徴

プラチナの特徴
出所:筆者作成 イラストはPIXTA

猫と金(ゴールド)、犬とプラチナの共通点

 ここまで、猫と犬、金(ゴールド)とプラチナの特徴を確認しました。ここからは、それぞれの特徴を抽出し、猫と金(ゴールド)、犬とプラチナに共通するキーワードに注目します。

 猫と金(ゴールド)に共通するキーワードは、古代、崇拝の対象、神秘的、美しい、きらびやか、気まぐれ、などです。猫の動作と金(ゴールド)の値動きという「動き」については、きらびやか、気まぐれ、などが当てはまります。

図:猫と金(ゴールド)に共通するキーワード(一例)

猫と金(ゴールド)に共通するキーワード(一例)
出所:筆者作成 イラストはPIXTA

 以下は、犬とプラチナに共通するキーワードです。

図:犬とプラチナの共通点

犬とプラチナの共通点
出所:筆者作成 イラストはPIXTA

 犬とプラチナに共通するキーワードは、厳しい環境で真価を発揮、強靭な性質、安定性、多機能、耐え忍ぶ力強さ、などです。犬の動作とプラチナの値動きという「動き」については、安定性、耐え忍ぶ力強さ、などが当てはまります。

きらびやかさ、耐え忍ぶ力強い動きは続く

 金(ゴールド)相場は2000年以降、何度も歴史的高値を塗り替えてきました。米国の主要な株価指数と同様、大変にきらびやかな存在です。

 近年は、短中期的には有事ムード(不安拡大時の資金の逃避先需要拡大)、代替資産(株の代わり)、代替通貨(ドルの代わり)、中長期的には中央銀行、超長期的には見えないジレンマといった、複数のテーマ起因の上下の圧力を受けながら、株と同時に上下したり、ドルと同時に上下したりする気まぐれな値動きを演じつつ、上値を切り上げています。

 金(ゴールド)は個人の投資家、個人の消費者、そして中央銀行など、幅広い市場関係者を魅了し、愛され、今の価格帯まで上昇してきました。多くの人に愛される猫のようなきらびやかで気まぐれな値動きは、今後も続く可能性があります。

図:金(ゴールド)とプラチナ価格の推移 単位:ドル/トロイオンス

金(ゴールド)とプラチナ価格の推移 単位:ドル/トロイオンス
出所:世界銀行のデータより筆者作成 イラストはPIXTA

 プラチナ価格は2015年ごろ以降、低位で安定しています。ドイツの自動車大手であるフォルクスワーゲン社の不正が発覚してディーゼル車への批判が強まり、同車に用いられている自動車排ガス浄化装置向けのプラチナ需要が急減すると目されたためです。今もなお、こうしたムードは続いています。

 しかしようやく、この状態から脱する糸口が見え始めました。同需要は2021年から増加傾向が鮮明になっており、2025年にはほぼ不正発覚時の水準に達することが予想されています。(WPICの統計より)

 加えて、FCV(燃料電池車)やグリーン水素の生成装置向けといった、環境関連の新しい需要が徐々に増え始めています。すぐに急増する需要ではないものの、今後長い年月をかけて、少しずつ増加していくことが予想されています。

 多くの人に愛される犬のような、低位であっても安定し、長期視点の価格反発を目指して耐え忍ぶ力強い値動きは今後も続く可能性があります。

ポートフォリオ内で猫と犬を飼う感覚

 伝統的に人間に愛され続けてきた猫と犬、飼うならばどちらでしょうか。きらびやかに高値を更新し続け、時には株高時でもドル高時でも気まぐれに上昇する金(ゴールド)と、低位で安定し、超長期視点の価格反発を目指して力強く推移するプラチナ、買うならばどちらでしょうか。

 同じ家庭で複数の種類の動物を飼う「多品種飼い」は難しいケースがあると言われています。猫と犬を同時に飼うことについては、飼い主をめぐりお互いをライバル視したり、室内にいるケースが多い猫が外出する頻度が高い犬が持ち込んだ病原菌に侵されたりする懸念があったりするため、現実的ではないと指摘する専門家もいます。

 このため、飼うとしても、猫か犬、どちらか一方が選択されるケースがほとんどです。(猫と犬、両方を飼っていると回答した人の割合は1.2%程度だった、という調査もある)

図:どっちを飼う(買う)?

猫(プラチナ)と犬(ゴールド)のイラスト
出所:筆者作成 イラストはPIXTA

 しかし、貴金属の投資はどうでしょうか。金(ゴールド)とプラチナは同時に保有することができます。「多品種買い」が可能なのです。これにより、きらびやかで気まぐれな猫のような値動きと、低位安定で耐え忍ぶ力強い犬のような値動きの両方を、同時に享受できる可能性があります。

 金(ゴールド)とプラチナの多品種買いの際、それぞれの特徴を生かし、きらびやかで気まぐれに動く金(ゴールド)はスポットで売り買いをしつつ、低位で安定して耐え忍ぶ力強さを伴って動くプラチナは積み立てで買う、というアイデアが考えられます。

図:金(ゴールド)とプラチナ価格の推移 単位:ドル/トロイオンス

金(ゴールド)とプラチナ価格の推移 単位:ドル/トロイオンス
出所:世界銀行のデータより筆者作成 イラストはPIXTA

 猫を飼う動機と犬を飼う動機が必ずしも同一でないのは、猫と犬の特徴が異なるためです。この点と同様に、金(ゴールド)を買う動機とプラチナを買う動機は必ずしも同一にはなりません。金(ゴールド)とプラチナの特徴が異なるためです。

 特に「多品種買い」の場合は、単品買いの時よりも一層、特徴の違いに留意する必要があります。これは「多品種買い」の投資効率を高めるためにも、欠かせないポイントです。

 スポットで売り買いをする手段には、純金積み立てのサービスにあるスポット購入・売却、関連するETF(上場投資信託)の売買、関連する商品先物や商品CFDの売買などが挙げられます。積み立てで買う手段には、純金積み立てのサービスにある積み立てで購入する、楽天証券のサービスである「かぶツミ」で関連するETFを積み立てる、などが挙げられます。

 これらを総合した貴金属の多品種買いの具体例としては、純金積立のサービス内でプラチナを積み立てで購入しつつ、金(ゴールド)をスポットで購入・売却したり、関連するETFである純プラチナ上場信託(プラチナの果実)(1541)などを「かぶツミ」で積み立てをしつつ、純金上場信託(金の果実)(1540)などをスポット的に売買したりする方法が挙げられます。

 応用例としては、プラチナを、純金積立のサービスにある積み立てで購入、もしくは「かぶツミ」で関連するETFを積み立てしつつ、金(ゴールド)のスポット売買を、関連する商品先物や商品CFDで、レバレッジ(てこの原理)がかかった形で売買する方法が挙げられます。

 猫に接する感覚で金(ゴールド)に、犬に接する感覚でプラチナに向き合いながら「多品種買い(飼い)」を進めることで、これまで知り得なかった貴金属投資の世界が開けてくると、筆者は考えています。

[参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

長期:

純金積立(当社ではクレジットカード決済で購入可能)

純金積立・スポット購入

投資信託(当社ではクレジットカード決済、楽天ポイントで購入可能。以下はNISA成長投資枠対応)

三菱UFJ 純金ファンド
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり)

中期:

関連ETF(NISA対応)

SPDRゴールド・シェア(1326)
NF金価格連動型上場投資信託(1328)
純金上場信託(金の果実)(1540)
NN金先物ダブルブルETN(2036)
NN金先物ベアETN(2037)
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
ヴァンエック・金鉱株ETF(GDX)

短期:

商品先物

国内商品先物
海外商品先物

CFD

金(ゴールド)、プラチナ、銀、パラジウム

(吉田 哲)

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