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住宅ローンも人生も「万が一」の備えは必須!<7-4>夫婦、住宅ローンを学ぶ

トウシル / 2025年1月24日 16時0分

住宅ローンも人生も「万が一」の備えは必須!<7-4>夫婦、住宅ローンを学ぶ

住宅ローンも人生も「万が一」の備えは必須!<7-4>夫婦、住宅ローンを学ぶ

 これまでのあらすじ

 信一郎と理香は小学生と0歳児の子どもを持つ夫婦。第二子の長女誕生と、長男の中学進学問題で、教育費の負担が気になり始め、毎週金曜夜にマネー会議をすることになった二人。息子の進学に合うベストな物件を見つけ、夫婦は住宅ローン選びを開始。具体的に何歳まで、月々いくら返済するか、試算をすることに…

人物相関図

 2週間後、夫婦はまたFP氏の事務所を訪れていた。今度は二人の意見を固めたうえで、最終的な試算をしてもらうためだ。

信一郎と理香が決めた住宅ローン条件

 まず、二人が選んだのは「変動金利」だ。今後の金利が上昇するのは怖いが、上がったところで救済措置があるのであれば、今の低金利を優先したい。変動金利が固定金利を万が一上回った場合は、固定金利に切り替えたり、別の低金利ローンに借り換えたりなどをして対策をとればよい。それに、住宅ローンに圧迫されて投資のために回す資金が減るのも歓迎できない。

 さらに夫婦は、夫婦別々でローンを借りる「ペアローン」か、どちらか一人が借入主となる「収入合算方式」かを話し合った。結果、これを機会に「今まで二人それぞれの預金口座プラス共同で出し合っていた引き落とし用の口座を合体させ、二人の財布を一つにしてしまい、お互いの収入をそこへ集合させよう」と話が落ち着いた。

 これまで収入を一本化することで、自由に使えるお金が制限されることに気乗りしなかった信一郎だが、二人合わせて6,000万円の借金を背負おうとしている今となっては、入り口も出口も一つにしたほうがいいという判断だ。そのほうが、収入も支出も管理がしやすい。

 そうなるとやはり、ペアローンではなく、信一郎が借入主となり理香が連帯保証人となる収入合算方式を選ぶ方が合理的だ。そのためには、信一郎の「万が一の時」に備えて、しっかりと保証条件が付いている住宅ローンを選ぶ必要がある。

 二人は毎夜、10分ずつ時間を作って、住宅ローン比較サイトでさまざまな住宅ローンを見て回った。FP氏が言ったとおり、金利はもちろん、付帯条件や付けられる保険などは多岐にわたる。

 死亡したり高度障害状態になったりしたときには、保険金でローンが完済される「団体信用生命保険」を付帯するのが金融機関で住宅ローンを申し込む際の通例条件だが、それ以外にも、がんになったときに返済額が半減または全額免除になるがん特約、がん以外にも、脳卒中、急性心筋梗塞、高血圧症、糖尿病などの8大疾病にかかった際、返済額が免除または軽減される8大疾病保障特約など、選択肢も多い。

 地震などの自然災害が発生して自宅が全壊/半壊などの被害を負った場合、一定期間のローン返済相当額が免除される特約さえある。

 面白いところでは、リストラや倒産などの失業不安に対応する保障や、「産休・育休」時に返済タイミングを相談でき、月々の負担を一時的に軽減することができる住宅ローンなどもある。金融機関のグループ会社が経営するスーパーマーケットでの買い物が割引になるおまけがついている住宅ローンさえあり、二人はそのバリエーションの豊富さにため息をついた。

「考えたくないけど、シンちゃんの保障はしっかりつけようね」

 理香はそう言い、団体信用生命保険(団信)と、それに追加でつけられる付帯特約を調べまくった。

「がん保障」「3大疾病保障」「全疾病保障」に加えて、入院中は住宅ローンの支払いが免除される「月次返済保障」などもある。ただし、欲張ってあれもこれも特約をつけすぎると、その分、金利に上乗せされることもわかった。

 信一郎の実家、藤元家の親戚の何人かががんにかかっているところから、信一郎は「がん特約」は外せないと主張している。がんと診断されると住宅ローン残高が半額になる50%保障と、全額が保障される100%保障が選べるが、いったん金利を優先することにして、50%保障を二人は選んだ。

 そんな二人が候補として絞り込んだ住宅ローンは大手ネットA銀行の「あんしん住宅ローン」だ。A銀行は、夫婦が共同で使用している引き落とし用銀行口座であり、給与引き落としや光熱費の引き落としを同じA銀行で行っていると、金利が優遇されて金利が引き下げられるというメリットがある。

 また、Aグループの携帯電話にキャリア変更すれば金利優遇が効くのも魅力だ。そうなると、金利は0.25%にまで下がる。ネットでの申し込みで審査に進むことができるため、忙しい二人にぴったりだ。

 団信に入るとなると、信一郎の死亡保険はあまり重視しなくてもよい。今入っている保険の内容も見直そう。ネットや携帯電話キャリアもA社に切り替えて、改めて金利優遇を目指そう、と決め、総合的なFP氏の意見を聞こうと考えたのだ。

「月々、いくら払うか、PC上での試算ツールを使って計算してみたんですが…。何年で返済するか、ですごく悩んでいて…」

 信一郎が試算ページを開きながらFP氏をすがるように見る。

▼金利0.3%で試算した月々費用と総返済額

  月々返済額 総返済額 総利息 返済し終わる年齢
25年返済 20万7,618円 6,228万5,400円 228万5,400円 信一郎72歳/理香68歳
30年返済 17万4,299円 6,274万7,640円 274万7,640円 信一郎77歳/理香73歳
35年返済 15万0,506円 6,321万2,520円 321万2,520円 信一郎81歳/理香77歳
※借入元本6,000万円として、GAIAにてキャピタル・アセット・プランニング社の「Design Your Goal」を使用して算出

「通常、金融機関では80歳までに返済が完了するようにお勧めしています。私なら、30年返済をお勧めしますね」

「どうしてですか?」

「多くの金融機関での完済年齢は[80歳まで]が一般的だからです。25年返済では、確かに本格的な老後に入る前に返済し終わっているため、理想的に見えますが、万が一の事態があったり、今後の収入が減ったりした場合、プラン変更がしにくい状況だと考えます」

 FP氏は思慮深そうにメガネを指で押し上げる。

「それに、30年返済にすると月々の総返済額を抑えて、家計の安定を優先することができそうです。教育資金がかかる期間は支出を抑えることが最優先です」

 そうか、と信一郎がうなずく。二人分の教育費が走る以上、そちらの確保が最優先だ。生活費はできるだけ、余裕を持った計画がふさわしい。

「ただし、77歳で完済かぁ…と思うと少しげんなりします…」と肩を落とす信一郎に、FP氏は「退職金が入られた段階で、繰り上げ返済を検討することも一手ですよ」と声をかけ、信一郎ははっと顔を上げた。

「そうか、退職金があったか!」

「はい。70歳以上になると、年金はもちろん、企業型DCやiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)で投資したリターンを受け取っているタイミングかと思います。住宅ローンの支払いと並行しながら、受け取るものは受け取れる状況です。そのうえで、繰り上げ返済するかしないかは、これからの約20年間の、投資の運用結果も味方につけて、プランニングをおいおい見直しながら、必要なタイミングで決断されるといいと思いますよ」

「お二人の年収やお勤め先なら、審査を通るのはさほど難しくないと思います。では、この住宅ローンを採用した場合のライフプランをもう一度、組んでみましょう。返済中の生活のイメージがより具体的に浮かぶはずです」

 FP氏は力強くいい、試算ツールを立ち上げた。

超リアル!40代夫婦のライフ&マネープラン<7-5>夫婦、住宅ローンを学ぶ>>来週金曜公開予定!

(中桐 啓貴)

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