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新NISAで中小型株 割安中小型株で20銘柄を厳選するなら? 

トウシル / 2025年2月5日 15時44分

新NISAで中小型株 割安中小型株で20銘柄を厳選するなら? 

新NISAで中小型株 割安中小型株で20銘柄を厳選するなら? 

<指数パフォーマンス比較~バリュー株orグロース株どっち優勢?~>

2025年1月 中小型主要指数の月間騰落率

1月の中小型株ハイライト「半導体株に逆走」

 中小型株は個人投資家の売買シェアが高いため、手前の前年12月はタックスロス・セリング(節税目的の売り)の影響がマイナスに働きました。ただ、これは年さえ替わればなくなる類の売り需要。

 また、1月はIPO(新規公開株)もないことでIPOに資金が吸われることもなくなります。1月の新年効果は、この辺りの需給要因で期待されてきました。そんな1月ですが、出足はしんどい展開で…。

 序盤は、グロース市場ではトライアルホールディングスやGENDA、ジーエヌアイグループなど主力級の軟調さが目立ちました。東証グロース市場は昨年11月以降、「外国人買い/個人売り」の構図になっていました。

 ただ、節税売りが終わった途端、売り手だった個人が買い越しに転換。2025年1月第1週(現物と先物合算)は「外国人171億円売り越し/個人225億円買い越し」、1月第2週も「外国人83億円売り越し/個人100億円買い越し」と完全に攻守交替。この間、外国人が主力級を売る一方、個人はそれとは別のものを買っていた感じで…。

 業績不問のデイトレ資金は、トランプ関連株として仮想通貨関連株、バイオや直近IPOで値動きの良い株などに集中しました。

 とりわけ「中小型株しんどい」と感じる場面は、人気の半導体株が急騰し始めたタイミングでした。トランプ米大統領が誕生した直後、21日に人工知能(AI)インフラを構築するための大規模プロジェクト「スターゲート」が発表されます。

 トランプ大統領いわく、「少なくとも5,000億ドル(約78兆円)投じる」とするAI開発への出資。そのスターゲートなる共同出資事業の新会社はソフトバンクグループとオープンAI、米オラクルの3社で始めるとのこと。莫大(ばくだい)なAI投資の恩恵を受けそうな銘柄群に買いが殺到。

 その中心銘柄となったソフトバンクGのほか、ディスコやアドバンテストなど値がさ半導体株、フジクラや古河電気工業などデータセンター関連株も爆上げしました。

東証プライム流動性トップ10(※2月3日時点)

順位 コード 銘柄名 売買代金
25日平均
(億円)
時価総額
(億円)
1 6146 ディスコ 2,163 46,541
2 6857 アドバンテスト 1,708 63,590
3 5803 フジクラ 1,513 17,897
4 7013 IHI 1,326 14,695
東証グロース市場606銘柄 1,228 77,056
5 8035 東京エレクトロン 1,091 121,445
6 6920 レーザーテック 1,069 14,440
7 8306 三菱UFJFG 997 232,424
8 7011 三菱重工 976 75,249
9 9984 ソフトバンクG 905 138,988
10 7203 トヨタ 871 446,129

 ここで、半導体関連株が全然ない(トランプ恩恵ゼロ)の東証グロース市場は蚊帳の外に…。資金が大型の半導体株に流れ、ディスコやアドバンテスト、フジクラが活況化すると、グロース市場に入る資金が露骨に減少。グロース市場に上場する606銘柄を合計した売買代金が、フジクラやIHIといった時価総額1兆円台の銘柄一つにも劣っているわけです。

 トランプ関連株としてこれらが活気付くと、わざわざ人気の少ない中小型株にいかずとも「大型株勝負でいいよね」なる空気が広がります。

 しかし…その流れを変えてくれる意外な要因となったのが「DeepSeek(ディープシーク)ショック」でした。中国の新興企業DeepSeekが低コストで高性能のAIを開発し、「AI投資が縮小するのではないか」との見方が一気に拡散したのが27日の東京時間。

 AI投資ラリーで手前上がっていたソフトバンクGや、アドバンテスト、フジクラなどが急落。DeepSeek登場で一番影響を受けるエヌビディア株にいたっては、27日に前日比17%安の急落。時価総額で92兆円も減少するという、1日ベースでの歴代最大の消失額を記録したようです。

 ただ、その抜けた資金が他に流れたのがDeepSeekショック。日本でも、半導体株から抜けた資金は日本銀行利上げメリットの三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンク、KDDIのような大型ディフェンシブ株、そのほか中国の春節が近づいていたこともあって三越伊勢丹ホールディングスなどインバウンド株といった幅広い物色シフトにつながりました。

 そうした資金の一部が、東証グロース市場にも入ったことが終盤の巻き返しにつながりました。このタイミングでとりわけ人気化したのが、エクサウィザーズ、ABEJA、弁護士ドットコムなどAI関連銘柄。AI関連といっても、AI投資の恩恵を受けるデータセンター関連銘柄とは異なり、生成AIを使ったプラットフォームを提供する企業です。

 DeepSeekの低コストAIモデルにより、サービスの価格を引き下げられ、ユーザーのすそ野を拡大できるのではないか? そうした恩恵に目が向き、こうした企業がグロース市場に多くいたことが追い風となりました。

新NISAで中小型株!今月の銘柄アイデアは…話題のファンド、何を買う?

 2月に入って早々、日経平均株価は1,052円安(前日比2.7%安)。トランプ米政権によるメキシコ、カナダ、中国への追加関税が正式に決定(これ織り込んでましたよね?)。メキシコ、カナダが即座に報復関税を表明したことで、トランプ関税リスクに市場は意識を向けました。

 トランプ関税がネガティブな自動車株の下げが大きかったのは教科書通りでした。

 ただ、DeepSeekショックの時とは違い、そうしたネガティブ銘柄を売却した資金が他に回らず。ほぼ全面安で、グロース250指数も1.3%安となり、1月に頑張って上げた分を1日で消してしまいました(そのメキシコ、カナダに対する追加関税については現地時間3日に1カ月先送りで合意、買い戻しも…)。

 中小型株ということでいえば、国内完結型のビジネスの企業(とくに東証グロース市場)が多く、トランプ関税の影響を直接的に受ける銘柄はほとんどありません。関税引き上げは米国のインフレ、金利高止まりにつながるため、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げに慎重となる可能性はあります。

 そんな先の先まで想像を働かせるなら、中小型のグロース株にはネガティブとも言えるのかもしれませんが…。

 市場全体を「森」といい、個別銘柄を「木」と表現して、「森を見るより木を見よ」なんて言います。2月は決算発表シーズンということもあって「木」を見る時期と言えますが、決算以外では話題の日本株型アクティブファンドの動向に注目です。

 1月27日に、fundnote(ファンドノート)という運用会社が、著名な個人投資家である井村俊哉氏などが投資助言する新ファンド「fundnote日本株Kaihouファンド(愛称:匠のファンドかいほう)」を新規設定しました。

 証券会社や銀行などの金融機関を通さない「直接販売(以下:直販)」での募集ながら、申込額が上限としていた100億円に到達! 直販で過去最大規模の資金を集めたことへの驚きから、業界でも大きな話題となっています。申込受付は当面見合わせで、3月中に再開を予定しているようです。

「投資信託」の年間売買動向

 日本の中小型株市場の抱える昨今の悩みが、長期保有を前提とする機関投資家の資金流入が少なくなっていることでした。上の図は、「投資信託」という投資主体の年間売買動向を棒グラフ化したものです。

 2019年を最後に、中小型市場(2021年まではジャスダックとマザーズ、2022年以降はスタンダードとグロース)での投信経由のまとまった買い越しがなくなりました。2023年と2024年は大幅売り越しで、ファンダメンタルズで見た割安感や、成長性に着目したプロの資金が流入していないどころか、「(解約超過で)資金が抜けていた」ことが分かります。

 そうなると、短期のヘッジファンド(外国人)や個人の売買がメインとなり、適正価格を探そうとする機能が働きません。業績なんてどうでもいい、値動きが良いこと(需給が良いこと)が正義…そんな市場が形成され、半ば諦めムードだった中小型株市場に「井村ファンド」なる救世主現る!といった見方はできると思います。

 同ファンドが、どんな銘柄を買うのか?に関心が集まりますが、販売用資料からファンドのイメージは浮かび上がります。大前提とするのは、「アルファが大きい国内上場株に厳選して集中投資を行う」ということ。

 アルファは、投資助言を行うKaihouが考える企業の本源的価値と市場価格との乖離(かいり)幅とのことです。同ファンドの特徴と言えるのが、厳選して集中投資を行うという点。助言担当者である井村氏らが、20銘柄程度に厳選するようです。

 割安株であることが前提のようですが、「流動性ディスカウントを考慮しているか」という項目もあり、売買に困るような流動性の低過ぎる銘柄は対象外なのかもしれません。販売用資料には、2024年11月末時点のモデルポートフォリオについての紹介もあります。

 この時点で想定した組み入れ20銘柄は、時価総額平均983億円、PER(株価収益率)平均9.4倍、PBR(株価純資産倍率)平均1.0倍、配当利回り平均2.76%。バリュエーションが高い成長株ではなく、割安な中小型株に特化するようです。今回は割安な中小型株で、かつ流動性も低過ぎないといった条件からスクリーニングしてみました。

話題のファンドは割安中小型株の何を買う??
【条件】
(1)全市場、(2)時価総額1,000億円未満
(3)予想PER10倍未満、(4)PBR1.0倍未満
(5)配当利回り3.0%以上
(6)売買代金25日移動平均5,000万円以上
※業種は建設、証券商品先物、卸売。各業種最大5銘柄

業種 コード 銘柄名 予想PER
(倍)
PBR
(倍)
建設 1972 三晃金属工業 8.5 0.88
建設 6330 東洋エンジニアリング 6.8 0.54
建設 1879 新日本建設 7.5 0.80
建設 1847 イチケン 5.7 0.57
証券商品先物 8707 岩井コスモHD 9.6 0.85
卸売 2737 トーメンデバイス 7.4 0.82
卸売 9268 オプティマス 8.2 0.91
卸売 9274 KPPGHD 3.9 0.47
卸売 7130 ヤマエGHD 6.0 0.63
卸売 8074 ユアサ商事 7.6 0.88

 ポートフォリオ20銘柄(あくまで2024年11月末時点)の銘柄名は非公開となっていますが、業種に関する記載はあります。

 20銘柄の中でもとくに配分比率が高い銘柄は1銘柄で構成比8.0%とする5銘柄。その5銘柄の業種は、建設2銘柄、証券商品先物1銘柄、卸売1銘柄、情報・通信業1銘柄。そのため、今回のスクリーニングの対象業種も、建設、証券商品先物、卸売としました(※上述の銘柄は、あくまでスクリーニングをかけ定量的に抽出しただけ)。

 中小型の割安株に対し、長期保有を前提とするまとまった資金の流入が、同ファンドを通じて始まります。これは業界にとっても、マーケットにとっても大きな一歩。井村氏らが実際何を買ったか?は、Kaihouの月次レポートがリリースされたタイミングで判明するはず。市場参加者、関係者の多くが視線を注ぐ存在となりそうです。

(岡村 友哉)

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