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50代で直面「両親の介護」を前向きに捉えるコツ 親が住む札幌に移住したが、同居は無理だった

東洋経済オンライン / 2023年11月28日 18時0分

一時はベッドから起きることもできなかった父は、富士山を目標にしてリハビリを続けた(写真:『諦めない心、ゆだねる勇気 老いに親しむレシピ』)

2023年8月、 冒険家・三浦雄一郎氏の次男、豪太氏(54歳)は、要介護4の「寝たきり状態」から奇跡の回復を果たした父・雄一郎氏(90歳・当時)の「富士登山」挑戦を、多くの協力メンバーをまとめ、アウトドア用車椅子を使うことでサポート、無事に成功させた。

しかし、車椅子を使った雄一郎氏の富士登山は賛否両論を呼び、富士山登頂を伝えるYahoo!ニュースには2300件を超えるコメントが寄せられた。 要介護4の寝たきり状態から、富士山頂に至るまで――その裏側にはいったい何があったのか?

両親の介護と住む場所探し、そしてきょうだいで目指してきたサポートのありかたについて、雄一郎氏との共著『諦めない心、ゆだねる勇気』の豪太氏執筆部分から、一部抜粋・再編集・加筆してお届けします(全3回、第1回はこちら、第2回はこちら)。

札幌に移住したが、同居は無理だった

コロナが落ち着き始めて仕事が増えてくると、忙しいのは姉、兄も同じだった。

【写真】冒険家・三浦雄一郎氏は、2021年6月に東京オリンピックの聖火リレーランナーも務めた

姉の恵美里、兄の雄大、そして僕の3人がローテーションで、両親のサポートをする日々。しかし、全員が50歳を過ぎた僕ら「きょうだいのローテーション介護」には、あらゆる面で限界が来ていた。

父が「頸髄硬膜外血腫」に倒れ、リハビリが続いていた頃、僕は札幌に移住することになった。近くにいる分、両親のサポートができるようになったが、常にみていられるわけではない。

2022年の1月~2月は老人ホームに両親を預かってもらうことにした。

僕は北京オリンピックの解説の仕事が入っていたし、姉や兄もスケジュール調整ができなかったので「ショートステイ」を利用したのだ。

ところが、ふたりが一緒に入れる部屋が空いていなかったことから、夫婦で階が異なる別々の個室で過ごすことになってしまった。

父は標高8000mのテントのなかで何泊もしている人なので、環境の変化にことさら強い。世界有数のレベルかもしれない。老人ホームでの暮らしにはあまり気乗りしないが、僕らにも迷惑をかけられない、仕方ないという理解だった。

ところが、認知症の傾向がみられる母はそうではなかった。自宅を離れて、初めての老人ホーム。住み慣れない個室での生活に、せん妄のような状態になってしまった。

強制的に収容所のようなところに閉じ込められたように思ったようだ。

昼夜問わずいろいろな人に電話をかけて、「私は捨てられた」「もう死にたい」とネガティブな話ばかりをするようになる。

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