1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

最低賃金、実は「会社員にも関係アリ」な"その中身" 月給から自分の時給までたどり着く計算方法

東洋経済オンライン / 2023年11月30日 12時20分

なお、「就業規則(給与規程)」で具体的な数字が記載されていない場合は、少し面倒ですが「365日-所定休日×所定労働時間÷12」で計算することもできます。

難関の固定残業手当を攻略しよう

会社によっては、残業を実際にしたかどうかにかかわらず、一定時間分の残業代を固定残業手当として、あらかじめ支払っているケースがあります。固定残業手当は、あくまでも残業代を定額で払っているだけですので、最低賃金を計算する際に除外する必要があります。

まず、固定残業手当が通勤手当などの手当と同様に固定残業代手当として明確に金額が見える形で支払われている場合は、単純に固定残業手当を除いて計算するだけです。問題は、例えば、「基本給には20時間分の固定残業手当が含まれる」のように金額がわからないケースです。この場合は、固定残業手当分を算出して、本当の基本給を割り出さなければ正確に時給を計算できません。まさに冒頭Aさんの会社のケースです。

例えば、基本給24万円に固定残業手当が20時間分含まれている場合です。なお、月平均所定労働時間は150時間とします。この場合は、時給単価はこうやって計算することができます。

24万円÷(20時間×1.25+150時間)≒1371円(時給)

つまり、時給は1371円になるため、最低賃金以上の月給が支払われており、問題ないことがわかります。

ちなみに、固定残業手当を除いた本来の基本給を出すには、

1371円×1.25×20時間=3万4275円(固定残業手当20時間分)

24万円-3万4275円=20万5725円(本来の基本給)

になります。

ちょっと難しいですが、Aさんの会社のように基本給などの手当に一定時間の固定残業手当が含まれている場合は、このように計算すれば時給単価が確認できるので、最低賃金や自分の残業単価を一度計算してみてもよいかもしれません。

世界と比べてみてみると

そもそも、日本の最低賃金の水準はどうなのでしょうか。諸外国の最低賃金と比較すると、残念ながら日本の最低賃金は低いです。

2023年1~4月の為替相場を前提に各国の法定最低賃金を円ベースに計算した資料によると、フランス 1386円、ドイツ 1285円、イギリス 1131円。また、アメリカは961円と低いですが実際には州の最低賃金が適用されており、2000円以上の州すらあります。ちなみに、韓国も1080円(2024年)と日本より高い金額となっています(日本総研「全国平均1000円超時代の世界と最低賃金の在り方」)。

政府は先日、「2030年代半ばまでに全国加重平均が1500円となることを目指す」と表明しました。日本は、終身雇用、年功序列といった特有の雇用システムも残っていますし、厳しい解雇規制もあります。また海外のように産業別の労働組合はなく、労働組合の組織率も年々低下している状況で、労使の交渉によって賃金を大幅に上昇させることも難しいです。

ただ、賃金は自分のスキル、キャリア等で変えることができるものでもあります。スキルアップ等でご自身の時給単価も上げられるように、あらためて自分のキャリアを考えてみるのもよいかもしれません。

武澤 健太郎:大槻経営労務管理事務所社員役員、特定社会保険労務士

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください