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ごみ収集車から流れる「音楽」の知られざるひみつ かつて「放送中止騒動」も、「赤とんぼ」が多い理由

東洋経済オンライン / 2023年12月3日 7時20分

ノボル電機が開発したオルゴールアンプは、時代の流れというわけではなく、意外な理由で機械式から電子式に変えられていった。それは今で言うところの「清掃差別」と受け止められるエピソードがあったからである。

当時のオルゴールは宝石箱に仕組まれており、高級感あるイメージを持たせて販売されていた。ごみ収集車にオルゴールを載せて使用することにメーカーから異論が出て、ノボル電機へのオルゴールの供給を止めてしまった。

当時ノボル電機では、すでに多くの自治体の清掃車に機械式のオルゴールアンプを供給していたため、代替手段を考案する必要があった。

そこで機械式を諦めて電子式のオルゴールの開発を始め、アナログ回路からデジタル回路へと内部構造を変えた。今では考えられないエピソードの中で、オルゴールアンプは進化を遂げた。

オルゴールアンプは、後述するSDカード式の音源によるアンプで代用が利くため生産数は年間200~300にとどまる。しかし、省スペースで済むという利点があるため、現在でも市場を独占している。

1970年代頃から市場にカセットプレーヤー付車載アンプが出回りだした。ノボル電機では1976年にカセット付きプレーヤーをリリースし、主に地方自治体の広報車向けの販売を行っていた。

しかし、1980年代からCDの販売が始まり、カセットテープの利用が減少。また、繰り返し再生していくとテープが劣化して音声が変質したり、機械に巻き込まれたりするトラブルも生じた。

このような状況の中でノボル電機は電子媒体へと切り替えていく方向に舵を切ろうとしたが、スマートメディア、メモリスティック、MD、SDなどの多種類の媒体が存在するため、資金的にすべてに対応する製品の開発ができず、媒体を絞る必要があった。

今後の主流になる媒体を技術的な視点から検討した結果、SDカードを搭載することを決めた。

清掃車から流れてくる「赤とんぼ」の謎

冒頭で述べたように、地方自治体によっては清掃車からメロディを流しながらごみ収集を行っている。自治体ごとにメロディが異なるが、気のせいか「赤とんぼ」が多いように思える。その理由をノボル電機でも調査したが、半世紀以上も前のことで当時の開発担当者への確認がとれなかった。よって、「一説である」という前置きで話を聞くことができた。

先述のとおり、オルゴールアンプの製造当初は、オルゴールメーカーから機械式のオルゴールを調達していたが、アンプ1台に対してオルゴールは1つしか入れられないため、利用者は標準的に提供されていた8つの定番曲(「赤とんぼ」、「五木の子守歌」、「おさるのかごや」、「エリーゼのために」、「乙女の祈り」、「故郷の空」、「おうま」、「草競馬」)の中から1曲を選択して注文する形になっていた。

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