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マイクロソフトのAI施設率いる「日本人」は何者か 世界5カ国で展開する「AIラボ」総責任者を直撃

東洋経済オンライン / 2023年12月11日 7時40分

2019年の夏、上司から「とりあえず、中国のラボに行こう」と誘われ、実際に稼働しているラボを見に行くことになった。これが、プロジェクトが立ち上がって1週間で何かしらの成果物が上がるなど、さまざまな面でとにかく動きが速い。「あ、これは面白い。もっと大きくできるな」と感じ、そこで(ラボの責任者に就くと)決断した。

当時、上司とは「ラボって新しいものを皆が使えるように手伝うところなんだから、いずれはOpenAIと向き合ってきた努力が返ってくるんじゃない?」と話していた。実際、OpenAI(の技術)を展開する場となっていくと思うと、めちゃくちゃ返ってきましたね。

――サティア・ナデラCEO(最高経営責任者)とも、日常的にコミュニケーションを取っているのですか。

もちろんサティアはラボについて知っているし、サポートしてくれているが、これについて定例的に1on1のコミュニケーションは取っていない。

ただ、対話やメールベースのやりとりを通して見えた人物像としては、「普通にすげーな」と(笑)。「1を言ったら100伝わる」というか、すべてを説明せずとも要点を押さえて、鋭い質問もバンバン返ってくる。

神戸が戦略上も最適な場所だった

――今回、川崎重工業や地元自治体と連携して神戸にラボを開設することになった経緯を教えてください。

神戸のプロジェクトが始まったのは2年前のことだ。

2019年に上海のラボが稼働して以来、中国国内からオーストラリアの企業まで、非常に多くの引き合いがあった。(アジア・太平洋地域の)需要に応えきれない中で、産業用メタバースのパートナーシップを組んでいた川崎重工業の拠点であり、ちょうど自治体関係者がすでに海外で稼働しているラボの視察に来たのが神戸市だった。

さまざまな国・地域を検討したが、神戸は川崎重工業の存在だけでなく、ヘルスケア産業に注力しており、マイクロソフトとしても生成AIによるヘルスケアの問題解決に大きな関心を寄せていた。アジアにもう1つ拠点を置くなら、戦略的にもっとも神戸がメイクセンス(理にかなう)。ヘルスケア関連では、すでにとても面白いプロジェクトが持ち込まれている。

――これまで既存のラボでは、どのような成果が上がったのでしょうか。

代表的なのが、コロナ禍での非接触ソリューションだ。各種のメーカーやエアラインなどの有力企業がラボを訪れ、「とりあえず、いろいろとノータッチにしたい」と。ある企業がコーヒーマシンを持ってきた際は、「ヘイ、あれをこうして」と言えばきちんと動作するような仕組みなど、数え切れないほどの事例が生まれた。

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