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どこまで進んだ?多摩モノレール「町田延伸」の今 J1昇格「町田ゼルビア」本拠地アクセスも改善か

東洋経済オンライン / 2023年12月15日 6時30分

市は基幹交通として期待

市がモノレール延伸に期待する大きなポイントは、こういった交通課題の解決だ。市モノレールまちづくり推進室の担当者は「市の中央部に鉄道駅がないため、基幹交通として市内の拠点をモノレールが通ることで移動の速達性や定時性が(バスと比べて)向上し、利便性が高まる」とその意義を説明する。

2021年に選定されたルートも多摩センター直結ではなく、大型の団地や学校といった市内の拠点を結びながら迂回して結ぶ。都と市などは2019年に「ルート検討委員会」を設置し、4案の中から小山田桜台団地や桜美林学園、町田GIONスタジアム付近などを通るルートを選んだ。延長は約16km。多摩センター―町田間の速達性は他案よりやや劣るものの、確実に需要の見込める拠点を経由する点が評価された。

選定時に示された利用者数の想定は1日当たり約7万5000人。1を超えると事業の効果があるとされる費用対効果(B/C)は1.1と見積もっている。算出に用いた整備コストは非公表だ。ただ、検討委は今後の収支採算性の精査などの結果によっては、他案を改めて検討することもあるとしている。

モノレールを建設するには、導入空間(軌道を通すための場所)となる都市計画道路の整備が必要となる。上北台―箱根ケ崎間が町田延伸より一歩先を行っているのは、導入空間の道路整備が進んでいるためだ。

そこで市は2019年、導入空間となりうる都市計画道路の事業用地を、都が事業に着手する前に先行して取得する「町田方面延伸加速化プロジェクト」を立ち上げた。対象区間は約2km・約9万平方メートルで、現時点で1カ所・1000平方メートルを取得しているという。

ただ、市モノレールまちづくり推進室によると、延伸ルート16kmのうち、現状で都市計画道路以外も含めた道路自体があるのは約12kmという。町田延伸の実現に向けては、道路整備の推進が大きな課題だ。

駅の数や設置場所などについては、まず事業性の検証が必要となるため現時点では未定だ。町田市民の中には、JR町田駅前の2棟に分かれた商業施設「町田東急ツインズ」の間にある「原町田大通り」のスペースにモノレールの駅ができると聞いたことがある……という人もいるだろう。ただ、町田に設ける駅の位置も含め、まだ決まっていることはないという。

先は長いが一歩前進

町田市と多摩市は2023年12月、モノレールの需要創出に向けた沿線の街づくりや課題解決などに向けた「モノレール沿線まちづくり構想」の素案をまとめた。同構想は両市が2022年8月から検討委を設けて策定を進めてきた。12月20日から2024年1月19日にかけて市民の意見を募集し、3月に構想を策定する予定だ。

まちづくり構想の策定は延伸に向けて一歩前進といえそうだが、開業までにはまだ数多くのプロセスを経る必要がある。市モノレールまちづくり推進室によると、市民意見の募集を踏まえて構想を策定後、両市は策定した取り組みを進める一方、都は事業性の検証を行う。市の資料によると、事業性に問題がなければ、その後調査設計やさらなる事業性の精査、都市計画法に基づく手続きや軌道法に基づく手続きを経て、都が事業化を決定することになる。実際に着工するのはそこからだ。

まだ先は長そうだが、前進している多摩都市モノレールの町田延伸構想。J1昇格を決めたFC町田ゼルビアのように、事業化へ「昇格」する日はいつになるか。

小佐野 景寿:東洋経済 記者

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