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少子化対策「全国一律は無理がある」といえる根拠 「婚姻・出生」都道府県ランキングから見えたこと

東洋経済オンライン / 2023年12月17日 11時0分

その要因は、同じ首都圏にありながら、東京の大企業に勤める若者と比べれば、周辺3県の若者の所得が低いという事実は無視できません。なまじ東京圏で生活しているだけに、東京基準で相対評価されがちな部分もあります。こうした人口の多いところでの減少は全国的に影響も大きくなります。

男性に関していえば、収入の多寡と未婚率は強い負の相関があります。言い換えれば、男性は年収の高い方から順番に結婚していくわけです。

実際、東京の中でさえ、港区、千代田区、中央区など所得の高い区だけは出生数を伸ばしていますが、足立区、葛飾区、江戸川区といったかつて出生力の高かった下町エリアは減少が激しい。少なくとも、首都圏における婚姻力の差は若者の経済力の問題と無関係ではないでしょう(参照:『所得が多いほど「出生数増」日本が直視すべき現実』)。

最後に、A群ですが、ここも安泰というわけではありません。あくまで2020年の中では平均より高いだけであって、A群もすべて年々婚姻数も出生数も減少しています。A群の出生率が高い要因は、20代前半での婚姻率の高さと比例します。

早くに結婚できていたからこそ、多子出産になるのです。しかし、今や高卒での婚姻率が激減しています。それもまた、高卒就業者の低所得の問題と関連します。やがてA群も経済問題によりB~Dへと移行する可能性があります。

1婚姻当たり1.55人が生まれている

私が独自に指標化した「発生結婚出生数」というものがありますが、これは、前年の婚姻数に対して、翌年の出生数は大体同じ比率で生まれてくるという法則に基づきます。それによれば、1婚姻当たり1.55人が生まれてきます。この数字は1990年代から不変です。

つまり、婚姻が1つ減ればそれだけ翌年1.55人の出生が失われていくことを意味します。少子化対策とは、婚姻の増加または増加しないまでも維持にかかわっているのです。そしてそれは若者の所得の問題と同一です。

ピーター・ドラッカーの名言に次のようなものがあります。

「重要なことは、正しい問いを探すことである。間違った問いに対する正しい答えほど役に立たないものはない」

いい加減、問いの間違いに気付いてほしいものです。

荒川 和久:独身研究家、コラムニスト

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