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地球に迫る「大量絶滅」生き延びるための処方箋 ジェレミー・リフキン氏 スペシャルインタビュー

東洋経済オンライン / 2023年12月20日 8時0分

これら第1次および第2次産業革命が、図らずも絶滅への道を用意した。進歩の時代を特徴づけたのは、効率性を追求した結果としての環境破壊などの「負の外部性」であり、農業でいえば特定品種の単一栽培による悪影響だ。

しかし、危機は変化のためのチャンスであり、私たちは新たな社会や経済、政治システムを構築すべき時に来ている。

──政治システムにおいてはどのような見直しが必要でしょうか。

気候変動の猛威は、国家間の境界線を無意味なものにしている。そこで取って代わるのが、「バイオリージョン(生命地域)」という考え方だ。国家の主権や地域の自治権はもちろん存在し続けるが、共通の生態系を「コモン(共有財)」として重視する統治の必要性が強まっている。

アメリカやカナダでは、北西太平洋岸地域、五大湖地域など、広域のエリアごとに、国境を越えて州などが集まり、各地域の生態系を産業や雇用などと一体で管理していく取り組みが始まっている。

とくに重視されているのが、生態系の保全や水資源の管理だ。中国でも2021年に8つのバイオリージョンが発表された。

統治の方法としては、工業化の時代にスタンダードとなった代議制民主主義を見直し、「分散型ピア(対等者)政治」に道を譲る必要がある。

これは市民一人ひとりが統治の過程そのものの一部となるというものだ。地方自治体は市民に協力を求め、市民は「ピア議会」(ピア主導の能動的な市民議会)に参加して、自治体とともに働く。

──経済や科学技術のあり方は。

進行しつつある第3次産業革命に期待している。第1次および第2次産業革命が、化石燃料を土台とし、多額の資本を必要とする中央集権型であったのに対して、第3次産業革命は分散型で流動的なプラットフォームによって成り立つ。

インターネットによってたくさんの人たちがお金をかけずにお互いにつながれるようになった。住宅の屋根には太陽光パネルが置かれ、市民が自分で使うためのエネルギーを生み出している。

GAFAが席巻した、第3次産業革命の第1世代は中央集権的な面が強いが、40年先にこうした企業が生き残れるかは未知数だ。

というのも、大量のデータであふれる社会においては、ありとあらゆる機器にセンサーが設置され、IoTという神経系を通じてデータをやり取りするようになるからだ。一部の企業がデータを独占することはできない。いちいち遠隔のデータセンターを介してやり取りしていたら立ちゆかないからだ。

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