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ENEOS経営トップ、2年連続でセクハラ解任の病理 ガバナンス不全で崩れる「旧・日石」の経営体制

東洋経済オンライン / 2023年12月20日 15時0分

12月19日の記者会見で頭を下げるENEOSホールディングス社外取締役の西岡清一郎監査等委員(中央)ら。斉藤猛社長をはじめ、不祥事を起こした取締役は会見の場に現れなかった(撮影:尾形文繁)

社風を疑われても仕方がない。

【写真】2年連続で辞任したエネオスの杉森元会長と斉藤社長のツーショット

石油元売り大手のENEOSホールディングス(以下、エネオス)は12月19日、斉藤猛社長の解任を発表した。宴席で酩酊した斉藤氏が、同席した女性に抱きつく行為に及んだのだ。

11月末にコンプライアンス窓口に通報があり、外部弁護士らによる社内調査を実施し事実と認定された。本人は「度を越して飲酒したこと自体が問題。大変恥ずかしく申し訳ない」などと述べているという。

経営トップが退くのは2年連続

女性への不適切な行為を理由に経営トップが退くのはこれで2年連続となる。

昨年8月、当時会長を務めていた杉森務氏が「一身上の都合」を理由に突如職を辞した。当初、エネオスは被害者のプライバシー保護を理由に背景をいっさい説明しなかった。

だが、1カ月後に『週刊新潮』が沖縄の高級クラブで杉森氏が女性従業員に性加害に及び、骨折までさせる大けがを負わせたと報じるに及んで、ようやく事実関係を認めた。

昨年11月の決算会見で、斉藤氏は「当社は高い倫理観を持って業務に当たってきた。前会長自らがそれに背く行為を行い、私自身強い憤りを感じている」と杉森元会長を批判していた。

斉藤氏は月額報酬や賞与の一部返還、調査にかかった弁護士費用が求められる。また、不祥事との因果関係が認められれば業績悪化に対する賠償も求償される可能性がある。

谷田部靖副社長、須永耕太郎常務も宴席の場に同席していたが、斉藤氏とは離れた場所にいて不適切行為自体は目撃していないという。

だが、須永氏は宴席の「事務局責任者」であり、被害女性に対して「性別役割分担の意識をうかがわせるような不適切な発言」をしたということで月額報酬30%を3カ月減額。コンプライアンス部門トップの谷田部氏は取締役会の辞任勧告に基づき辞任することになった。

再発防止策はまったく機能せず

エネオスでは昨年発生した元会長の不祥事を受け、社内取締役候補の過去の同僚や部下から第三者機関がヒアリングなどを行う「人材デュー・デリジェンス」をはじめ、役員ハラスメント研修の充実や役員の処分規定の厳格化などの再発防止策を進めてきた。

その陣頭指揮を執るべき立場だった経営トップやコンプラ部門のトップが犯した大失態。再発防止策はまったく機能せず「仏作って魂入れず」だった。斉藤氏が主導した新役員処分制度の適用は、皮肉にも斉藤氏らが第1号となった。

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