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北九州市が「水素に積極的」になる歴史的必然 日本最大級「洋上風力発電」2025年に稼働予定

東洋経済オンライン / 2023年12月27日 12時30分

そして、現在まで続く大きな“世の中のうねり”が生まれる。COP21(国連気候変動枠組条約 第21回締約国会議)での「パリ条約」を転機に、SDGs(持続可能な開発目標)、またカーボンニュートラルがグローバルで大きな影響を及ぼすようになった。

このように、北九州市は1960年代からこれまで、「工業都市という地域性」を踏まえて、街の次世代化を進めてきたと言えるだろう。

工業都市ならではの現実と道筋

「工業都市という地域性」では、ほかの中~大規模都市と比べて、カーボンニュートラルを目指すうえでの方策も変わってくる。ここが、北九州市の特徴である。

ポイントは、産業部門から排出されるCO2(二酸化炭素)の多さだ。

国立環境研究所によれば、全国の温室効果ガス(CO2換算)排出量は、2020年で11.5億トン。内訳は、産業部門31%、次いで運輸部門16%、業務部門16%、家庭部門15%と続く。

一方で、北九州市の同年実績は1313万トンで、そのうち産業部門が60%と全国データの約2倍と、かなり高い。次いで、運輸部門12%、業務部門8%、そして家庭部門は全国データの半分以下の6%にとどまる。

つまり、産業部門での脱炭素化に重点を置くことが、北九州市にとってカーボンニュートラルに向けて重要なのだ。

ただし、北九州市の産業では、製鉄、化学、セメントを筆頭として“熱”が必須の素材型産業が多い。脱炭素化に向けて電化を進めるには、その規模から技術的なハードルが高いといえる。

そのため、北九州市は既存の電力部門の脱炭素化と非電力部門での電化を進めつつ、高温の熱を必要とする分野には、水素を活用することを目指すとしている。

北九州市にとって水素活用は、街の脱炭素化と次世代化に向けた必須の課題なのだ。

北九州市 環境局・グリーン成長推進部は「日本が2050年までのカーボンニュートラルを表明したことによって、北九州市の(行政としての意識や市に対する)周辺からの見方が大きく変わった」と指摘する。

また北九州市は、国の表明後いち早く、「2050年のゼロカーボンシティ宣言」を打ち出し、さらに具体的な施策を進めるための「北九州市地球温暖化対策実行計画」を改定。2022年2月には「北九州市グリーン成長戦略」を示し、その中で「水素供給・利活用拠点都市」として北九州市を位置づけた。

環境と経済の好循環、それがGX

ここでのポイントは、やはり「環境と経済の好循環」だ。

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