いつまでも「3年中計」を作る日本企業の大問題 前例踏襲癖から抜けられないサラリーマン病
東洋経済オンライン / 2023年12月27日 18時30分
例えば、糖尿病の患者は、食事制限を受けているゆえの「困りごと」を抱えている。材料からすべて自分で調達して調理できる人であれば、自力で「困りごと」を解決できるかもしれないが、1人暮らしの老人が毎食自炊することは、料理のできる人であっても負担であり、ましてや料理のできない人にとっては解決困難な課題である。
糖尿病患者はスーパーやコンビニに売っているような食材をそのまま買って食べるわけにはいかない。一方、スーパーやコンビニの側は、どれだけ需要があるかわからない糖尿病食材は廃棄リスクがあるため、仕入れようとはしない。
そこで、病気持ちの人向けに「おいしい総菜」を宅配するビジネスを起業すれば、社会課題も解決し、そのサービスに対価を払ってくれるリピート顧客を確保することで利益を生むこともできるのではないか。糖尿病患者だけではなく、アトピーやアレルギーを持つ子どもの親もこうした食に関する「困りごと」を抱えている。
こうした人々は安心できる食材の宅配サービスがあれば、ずっとリピート顧客となってくれるだろう。つまり、社会課題の解決と、ビジネスとしての成功は、矛盾せずに両立しうるのである。
若者の強みは、前例にとらわれずに、素朴に「なぜ、世の中に○○なサービスはないのだろう」と考えられる点にある。「それは、たぶん××だからだ」という理由がわかったとして、「では、その××はどうしたら解決できるだろうか」、と考えることができる。そうした人々であれば、大きな社会課題であればあるほど、大きなビジネスチャンスだと考えることができる。
それに対して「サラリーマン病」患者の多くは、自分の頭で「なぜ」を考えることを何十年も前から一切していない。前例踏襲するうえで、「なぜ」を考える必要はないからである。そうした人は、前例の通用しないような社会課題を前にした場合、「そんなことが起きているはずがない」「まだまだ先のことだから関係ない」という反応をしてしまう。
「3年中計」では未来はない
「サラリーマン病」患者の多い企業では、「3年中計」が最重要視される。3年先の未来なら予測できそうな気がするからなのだろうが、実は3年先の未来を当てることは非常に難しい。
3年先の為替レート予測は当たらないし、突発的な事態(戦争、疫病、天災)も予測できない。3年もたつと予想外の技術が突然登場してきたりもする。ライバル企業がM&Aで巨大化してしまうかもしれない。自社の儲け頭の事業をファンドに売却せざるをえなくなってしまうかもしれない。
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