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いつまでも「3年中計」を作る日本企業の大問題 前例踏襲癖から抜けられないサラリーマン病

東洋経済オンライン / 2023年12月27日 18時30分

当たらない「3年中計」をなぜ毎回作るのだろうか。それはまさに前例を尊重しているからであろう。3年中計の2年目には、もう前提が覆っているのに、次の1年を無駄に過ごして、次期の3年中計の検討作業にいそしむのである。そのために残業もいとわないというのは、滑稽ですらある。

一方、大きな社会課題というのは、30年後も継続している可能性が高い。例えば地球温暖化という課題は、30年たっても課題であり続けるだろう。つまり、30年たっても、ビジネスチャンスであり続ける。さまざまな技術革新が起こり、課題が少しずつ解決に向かっていくとしても、完全に解決することはない。

30年間も追い風が吹くビジネス分野があるのであれば、数年の投資期間を経てでも、その分野に陣取ることを考えたほうがいい。自社の持つ何らかの経営資源がその課題の解決に役立つのであるならば、今いるビジネスから脱却して、追い風の吹く分野に転身していくべきではないか。

30年先の課題をビジネスと捉えるヨーロッパ企業

地球環境問題をいち早くビジネスチャンスとしてとらえて転身を図った企業には、ヨーロッパの企業が多いように感じられるのだが、それはヨーロッパ企業が長期のスパンで事業構造を変えることを考えてきたからだと言える。

実際、大きな社会課題の中にビジネスチャンスを見つけようという考え方は、10年以上前のヨーロッパのコンサルタントたちの着想によるものである。10年前に、30年続く社会課題を将来のビジネスチャンスだと捉え、数年かけて事業構造を転換してきたのが、今のヨーロッパの先進的企業と言える。もちろん、そうした企業には前例踏襲志向はない。

30年後の未来予測を当てることはできないが、30年後も存在し続ける社会課題を当てることはできる。未来予測が当たらないのは予想外の技術革新が起こるからであり、それがなぜ起こるのかというと、社会課題を解決することがビジネスチャンスになると信じて、投資を行う気質の企業が多く存在するからである。日本企業に蔓延る「サラリーマン病」すなわち、前例踏襲気質が変わらなければ、こうした企業は日本からは生まれないだろう。

岸本 義之:武庫川女子大学経営学部 教授

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