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事例解説「安心な職場環境」怠った企業の"その後" 法規制違反・訴訟リスクに直面する可能性も

東洋経済オンライン / 2023年12月29日 17時0分

※出所:朝日新聞DIGITAL「ローソン本部と元従業員が和解 長時間労働めぐる訴訟」

事例:社員の過労自殺で遺族に約1億3,300万円支払い※

大手居酒屋チェーンの子会社の正社員が、2008年に過労自殺したのは会社側の責任として、遺族が同社や創業者に損害賠償約1億5000万円を求めた訴訟は、2015年12月に東京地裁で和解が成立。企業側が責任を認め約1億3300万円を支払いました。

※出所:ワタミ「外部有識者による業務改革検討委員会」の調査報告

「貨物・物流」は適切な労働条件の確保を

デジタル社会によるEC化の進展、顧客ニーズ・流通構造の変化は、貨物・物流企業のネットワークとオペレーション構造を抜本的に改革する必要性をもたらしています。

従来の宅急便は、日中に集荷、夜間に発送仕分けと幹線輸送を行い、翌朝から配達する時間軸としたオペレーションを行っていました。一方で、EC荷物は、購入者による注文が集中する夜間以降、順次荷造り・発送作業が行われるため、従来のオペレーション時間軸とのズレが生じ、作業効率低下や追加コストが発生しています。

これらに対応するため、オペレーションプロセスの簡素化によるコストの適正化、需要増減に対応できる組織力が求められており、従業員による柔軟なシフト対応、法人パートナーの重要性がますます高まっています。貨物・物流企業の従業員や請負業者のための適切な労働条件の確保が求められています。

事例:元ドライバー自殺は「労災」という判決※

大手運輸会社のドライバーの男性社員は、名古屋市の配送センターで運転手を務め、センター長として運転手のシフト管理も担っていましたが、2016年3月に精神障害を発症し、翌月に自殺。その後、自殺の原因は長時間労働や仕事上のストレスだとして、遺族が労災認定を求めた訴訟判決が2020年12月にあり、労災が認定されました。

裁判長は、判決の理由を説明するなかで、2015年12月の過度な時間外労働(130時間超)や、配送事故が続発しセンター長としての心理的ストレスが増大していた事実を指摘。そして、これらの労働環境が精神障害の発症を引き起こしたと認定し、名古屋北労働基準監督署の労災を認めなかった判断を取り消しました。

※出所:日本経済新聞「ヤマト運輸元ドライバー自殺は「労災」名古屋地裁判決」

木村 研悟:公認会計士

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