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スタバで「フラペチーノ」飲む人が知らない"真実" コーヒーじゃない「看板商品」を持つ凄さとは?

東洋経済オンライン / 2023年12月30日 11時40分

これを評して評論家のブライアン・サイモンはこう言う。

「利益追求に打ち込むスターバックスは、砂糖とミルクたっぷりのドリンクを目玉とするフラペチーノ・カンパニーになってしまった」(『お望みなのは、コーヒーですか?──スターバックスからアメリカを知る』より)

本物のコーヒー文化を追求し、それをコーポーレート・アイデンティティとするはずのスターバックスは、実は「フラペチーノ・カンパニー」だという。なるほど、ここにも一種の矛盾があるだろう。

スタバはサードプレイスなのか?

あるいは、スタバが掲げる店舗コンセプトである「サードプレイス」という概念もまた、矛盾に満ちている。

サードプレイスとは、社会学者のレイ・オルデンバーグが提唱した概念で、自宅でも職場でもない、第3の居場所のことを示す。そこで人は、普段の生活の役割から解放され、さまざまな人と自由気ままに交流することができる。

スタバはこの社会学の概念を掲げて、顧客がリラックスできる空間を作ることを目指している。

しかし、この「サードプレイス」という概念は、提唱者のオルデンバーグの考えではかなり厳密に定義されている。それは例えば、「会話が重視される」とか、「中立な場所である」「平等な場所である」というように決められていて、そこで提唱される8つの条件に合致してはじめてその場所がサードプレイスとなるのである。

これらの定義と比べるとスタバはどうか。細かくは今後の連載で検討するけれども、やはりスタバ内で「会話」が多く飛び交っている光景は想像しにくいし、そもそもそこは商品を買わなければアクセスすることのできない空間で、決して平等な空間ではない。

サードプレイスではないにもかかわらず、サードプレイスであることを喧伝している、ここにも矛盾があるだろう。

スタバを考えていくと、そこかしこにこうした「矛盾」が現れるのだ。

ここで筆者は、「矛盾」を抱えているスターバックスが不誠実だと非難したいわけではない。むしろ、その「矛盾」こそがスタバをここまで巨大な企業に成長させたのではないかと考えているからだ。

例えば、先にも触れたフラペチーノこそが、1990年代後半のスタバがグローバル企業になる足がかりになったと、ブライアン・サイモンは指摘する。

スタバがスペインに進出する際、フラペチーノのような、本場のコーヒーショップには置かれない商品があることで、既存のカフェと競合することなく出店を伸ばすことができたのはその一例だろう。スタバの「矛盾」を生み出すフラペチーノは、スタバの躍進を助けているのである。

ビジネスとしてきわめて有効に働いている「矛盾」

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