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NY生まれ「DASSAI BLUE」は米国で成功できるか 85億円の投資。「現地の評価や専門家の声」は?

東洋経済オンライン / 2024年1月2日 12時0分

しかしこれが、経営面からも想像を超える試練が待っていた。

2016年、30億円程度を予定し着工。ところがみるみる予算が膨らみ、最終的には85億円を超えるほどになってしまったのだ。

2015年の旭酒造の総売上が60億円だったことを考えると、相当なリスクもあったはずだ。怖さもあったが、腹を据えて突き進むと決意した桜井会長に、酒の神様は味方した。

着工後、数年後には開業すべく動いていたが、COVID-19の影響で工事が頓挫。一瞬逆風に見えたが、これが功を奏した。

2020年から始まったコロナ禍により、家で食事とともに楽しみたいと日本酒を買う人が世界中で増え、思いがけず獺祭の輸出量がぐっと上がったのだ。

需要に応えるべく、現場の醸造体制も強化。そうして売り上げが2021年には145億円、2022年には165億円と、7年間の間で2.7倍以上にまで急増。

その結果、2023年の開業時までに85億円に膨らんだ予定外の投資額も吸収できたのだ。

とはいえ、アメリカでの日本酒マーケットが成熟していなければ、海外に独自の醸造所を作って酒を醸してもビジネスとしての継続は難しい。

現地の識者はどう見ているのだろうか。

「DASSAI BLUE SAKE BREWERY」のオープニングパーティーに参加していた、フロリダワインアカデミーの日本酒エデュケーター、ギレルメ・ドゥ・マルセド(Guilherme de Marcedo)氏に聞いてみたところ、アメリカの日本酒マーケットはアメリカの大都市で確実に成長をしていると話す。

「アメリカでは日本酒の消費量は年々増加しています。最も市場が成熟しているのは、ニューヨークとカリフォルニア。続いてテキサスとフロリダでしょう」とマルセド氏。

さらに、「それらの都市のガストロノミックなレストランでは、日本酒と料理を一緒に楽しむのが新しいトレンドです。今やアジア系以外のレストランでも、ドリンクリストに日本酒を2~3種類入れています」と続ける。

また、日本酒はカクテルにもよく使われるとのこと。

近年は、日本酒に魅了されたアメリカ人たちが開業したクラフトSAKEのマイクロブルワリー(小規模醸造所)も増えてきており、2019年には、消費者と酒蔵の発展に焦点を当てた北米酒造協会が設立されたのだとか。

マルセド氏によると、北米酒造協会には現在20以上の酒蔵が加盟し、協会では良い地酒造りのために、それぞれの課題や成果を共有し、議論などを交わす場所となっているそうだ。

アメリカでは、なぜ獺祭が人気なのか?

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