「弱い日本」を悲観する人は、世界を知らなすぎる 治安も食事も最高な日本で生きていく"リスク"
東洋経済オンライン / 2024年1月3日 7時0分
また、選ばなければ仕事もあります。食事だって安いものから高いものまで選択肢が多く、世界中のさまざまな料理が食べられる。こうした状況は今に始まったわけではなく、ずいぶん前からありました。
世界にはまだまだ生存が厳しい国や地域がある中で、日本はそれを圧倒的1位でかなえてしまった国という見方はできないでしょうか? ダメどころか最高な国です。
別に私は日本礼賛をしたくて、この原稿を書いているわけではありません。そんな最高な国に生きていると「もっと、こうなりたい!」という欲望や必然は少なくなってきますよね? ということが言いたいのです。そうなると発展は止まってしまいます。
今、世界の音楽シーンでプレゼンスを発揮しているK-POP。韓国映画や韓国ドラマなども含めた韓流ブームはいまだに続いています。韓国の文化は世界的に多大な影響力を与えています。
「それに比べて、日本は・・・・・・」なんて思わないでください。
韓流ブームのきっかけの一つは、1997年のアジア通貨危機に端を発するIMF危機です。あの時、韓国では多くの企業が倒産し、国家的な経済危機が起こりました。韓国は国内に市場(マーケット)がなくなってしまった。その時、韓国経済を再建するために立てられた国家戦略の一つの柱が「文化産業・事業の振興」だったのです。
マーケットが縮小した自国ではなく、いきなり最初から世界を目指す戦略が、今の世界的なプレゼンスにつながっています。ダメになったからこそ、飛躍したのです。
GDPで世界4位はダメですか?
一方、日本はダメなのでしょうか? 弱いのでしょうか?
先日、名目GDPランキングがドイツに抜かれたというニュースがありましたが、それでもアメリカ、中国、ドイツに次いで、世界の4位です。世界約200カ国の4位って、どう考えてもトップランカーです。4位のどこがダメなのでしょうか? マーケットもあって、治安も良くて、何も文句はありません。
でも人類の目的を達成してしまったら、ハングリーになる必要がなくなります。個としては弱くなり、結果的に組織も国もどんどん弱くなってきます。「ダメになったからこそ、すごくなった」の逆で、「ダメじゃないからこそダメになってしまう」の連鎖です。
私は法人向けのグローバル人材育成の事業を営んでいますが、企業がマーケットを求めて世界に飛び出したいのに、社員がグローバル事業に手を挙げないという声をよく聞きます。だから企業の海外売上比率は高いのに、グローバル事業を担う社員の比率がかなり低いというのです。
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