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39歳でがんに「76歳芸人・おばあちゃん」の人生観 大学もお笑いも「やりたいことリスト」にあった

東洋経済オンライン / 2024年1月3日 12時30分

それ以来、やりたいことをやるにしても、「人のために何かできないか」ということを、今後の人生のテーマとして意識するようになりました。それで、お金をコツコツ貯めて、47歳で放送大学に入学したんです。

47歳で大学生に、学会で論文を発表

――47歳で大学生に! それもまた思いきった決断ですね。

私は戦後のベビーブーム世代で、当時の女子の高校進学率は半々くらい。中学校の先生からは「奨学金もあるから」と進学を進められたのですが、親には「いや、受かったら困るから受けさせません」と言われて、高校に行かせてもらえませんでした。その悔しい思いがあったので、社会人になってから働きながら通信制の高校を出て、短大にも行きました。

――短大まで出て、そこから、さらに大学に行こうと?

「チャンスがあれば大学に行こう」という思いはつねに持っていたんです。でも、せっかく大学に入るのなら、単位を取るだけでは面白くない。世の中のためになるものを残したいと思って。私は乳がんの手術で胸を全摘出して、人工胸との摩擦に悩んでいたので、そのことを研究テーマにしようと思って放送大学に入学しました。

大学の教授も「これから乳がんは増えるし、いいテーマだね」と言ってくださって。「乳がん手術後の発汗と下着について」という卒業論文をまとめることができました。さらにその後、日本家政学会でも研究発表の機会をいただいて。

――なかなかできることではありません。

それこそ水一滴ほどでもいいから、世の中に何かを落とせたら、という思いで論文を書き上げましたね。

スクーリングの日は仕事が終わってから職場のある横須賀から横浜までバイクで駆け付けたり、論文の締め切り前日は教授の別荘に寝泊まりして指導をいただいたり……大変でしたけど、それ以上に「大学で学ぶ」というずっと持ち続けていた夢をかなえられたので、毎日学ぶことが楽しかったんです。

「楽しい」から苦しくても続けられる

――芸人になってからは、今度は新しいネタを書く作業に追われていると思いますが、ここまで諦めないでいられたのは。

単純に、好きだったからだと思います。「今日を楽しく生きよう」の気持ちでなんでも楽しんじゃうので。

それに、舞台に立って目の前にお客さんがいらっしゃるということ、そして笑っていただけるというのは芸人にとっては何にもまさる喜びです。私はまだ経験がありませんが、爆笑をとるとそれこそ気持ちいいでしょうね。

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