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佐川急便「2年連続値上げ」への危機感とプライド 本村社長が訴える「価格転嫁が進まない」大問題

東洋経済オンライン / 2024年1月4日 7時50分

――配送品質を維持するため、ということでしょうか?

パートナー企業の配送品質もそうだし、宅配便も同じだ。サービスは今以上に高めたいと思っている。宅配便では大手が3社あり、品質が低ければ顧客に選ばれない。そのためにも品質はできればナンバーワンにしていきたい。

品質とは、例えば東京から大阪へ荷物が翌日にきちんと届くこと。荷物が壊れる事故などをゼロに近づけること。身だしなみや言動など顧客に対する応対などもそうだ。もっと安心して利用していただけるようにしたい。佐川急便を選んでもらえるようにしていく。

大規模物流センターへの投資も進めた

――佐川急便は10年ほど前から、量だけでなく採算面も重視して仕事を獲得してきました。

1個の荷物に対してどれだけのコストがかかっているか分析する仕組みができた頃だ。1日1個出荷する顧客も、5000個出荷する顧客もいて、集配・配達コストは異なる。それが明確になり、適切な金額を見積もりできるようになった。車両の代金や燃料費、人件費も上がる中で、適正な運賃をいただこうと活動を続けてきた。

一方で投資も進めてきた。2020年に稼働した大規模物流センター「Xフロンティア」などは荷物の増加に対応するためだ。コロナ禍では宅配便の荷物が急増したが、Xフロンティアがなければ遅配が生じていたかもしれない。

現在も関西や関東で新たな物流センターを計画している。拠点を集約してトラック数を削減したり、自動化で作業負担を軽減したりするなど、省人化も進めている。

――物流は効率化が課題と指摘されてきました。自社の物流の効率化に悩む企業も多くみられます。

宅配便の積載率は8割強だが、一般トラックの積載率は4割程度だ。顧客からは「物流を効率化できないか」「継続的に荷物を運べるような体制を作りたい」といった相談が寄せられている。

その対策の一つとして、近年はチャーター便の利用が増えている。大手小売りやドラッグストアからの依頼もある。佐川急便では1日1万台が走っており、主に輸送を担うのはパートナー企業だ。

また、われわれは全国に500人の提案営業部隊がいる。依頼を受ければ東京でも北海道でも、海外でも、同じような品質でチャーター便から流通加工なども含めた物流ソリューションを構築できる。素早くできることも魅力だし、他社にはない強みだと思っている。

今では、競合メーカーでも一緒にセンターを構えて輸送する例もある。われわれから仕掛けるときも、相談をいただいて提案・受託する例もある。多くのメーカーが「いかに物流インフラを維持するか」というところに目を向けていると感じている。

仕事は本当にきつかった

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