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「業務を仕組み化」小さな会社が挫折するワケ 「何のために働くのか」を社員は求めている

東洋経済オンライン / 2024年1月4日 16時0分

クライアントの社長にこんなことを言われたことがあります。

「たくさん売ってくるのが私の仕事だと思っていました」

あなたは、社長や組織のトップの仕事は何だと思いますか? 数字の管理や人の育成、資金の調達など、一言でいえばマネジメントが思い浮かぶと思います。では、ここ1、2カ月にやった仕事を思い出してみてください。意外とトップ営業や現場の作業に時間を割いている人が少なくないのではないでしょうか。

これはエキスパート経営をやっている小さな会社によくある傾向です。会社の規模がまだ小さいがゆえに、何から何まで社長の手が届いてしまうし、がんばればなんとかなってしまうからです。

起業した社長は、例外なく仕事ができる人です。

いうなれば「プレイング社長」で、売上をつくることからこまごまとした事務作業まで、すべて自分でやることができます。

一見すると、現場任せにしない責任感のあるがんばり屋の社長です。しかし裏を返せば社員を信じていないともいえます。「誰かに代わってほしいよ」と口では言いながらも、いざとなると「自分がやったほうが早い」「自分がやったほうがお客様のためになる」などと思ってしまうのです。

そんな社長は仕組み化に挫折しがちです。

仮に、営業担当社員の行動計画を立てて管理に徹しようとしても、我慢がききません。小さな会社では1件の契約や販売が死活問題になることもあります。そのため現場に任せたつもりでも、「ここだけは自分が商談に出てクローズしよう」などという仕事が増えてきて、結局は自分も営業に回ってしまいます。

小さな会社の社長は、社員に対する情が強くなりがちです。大きな会社の社長が薄情だと言っているわけではありません。距離の近さや接触の頻度の問題です。

感情に流されないために仕組みで管理するのだ、というのは正論です。しかし社長の本音を聞くと、そこまで割り切れない人も多いのが実態ではないでしょうか。

小さな会社に集まってくれた社員たちに情が移るのは、普通の感覚だと思います。

信頼してなんでも相談してくる社員たちが幸せになれるなら、とがんばるのも当然のことでしょう。

この情が、小さな会社の仕組み化がやりきれない大きな原因でもあります。

仕組み化の正しい順序

小さな会社の場合、仕組みと管理に徹するのは意外と難しく、嫌なことでもあります。

ならばどうすればいいのか? 私は、社員の成長と評価の制度づくりにいますぐ着手すべきだと思います。社員のために社長がひとり奮闘するのではなく、どうすれば社員ががんばれるのかを考えるということです。

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