「必ず交際希望」が来る30代婚活女性がしている事 変わる婚活者の価値観・金銭事情と成功の秘訣
東洋経済オンライン / 2024年1月4日 12時0分
新しい年がスタートした。2024年こそこれまでの婚活に終止符を打って、結婚したいと思っている婚活者は多いのではないか。
今回の『仲人はミタ』は、結婚相談所の仲人として婚活の現場を見てきている筆者が、2023年の婚活を振り返りながら、2024年こそ結婚したいと思っている人たちに、変わりつつある婚活事情と、どうしたら婚活が成功できるのかをお伝えしたい。
変わりつつある男女間の金銭事情
仲人として会員をお世話してきて感じるのは、お見合いから交際に入った時の金銭事情が緩やかだが変わってきていることだ。
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“男女間における割り勘問題”は、ネットでいつも大きな話題になる。
2023年もかわいこちゃん系インフルエンサーや、港区女子に分類される人たちが、「男が払って当然」などとSNSで発信し、そこには大量の反発コメントがついていた。
また、有名料理研究家の男性が「なんで男ってだけで知らん女子の飯代払わなきゃいけないの?」とXにポストし、ネット上で大きな論争を巻き起こしていた。
結婚相談所のお見合いでは、“お見合いのお茶代は、男性が払う”ということを推奨している。“必ず払え”というルールではないのだが、男性が払ったほうがお見合いはよいほうに転がると考えられているからだ。
数年前までは、お見合い市場にいる女性たちも、「男が払って当然」と考えている人が多かったように思う。
「お見合いのお茶代が割り勘でした。お断りでお願いします」
「お見合いを終えて、『あの、お支払いは?』と聞いたら、『じゃあ、1000円ください』って言われました。お茶代が1450円だったんで、450円だけご馳走になりました。セコイ」
「今日の男性、お支払いのときに『仲人から、お茶代は男性が支払ったほうがうまくいくと言われているんですが、まだ付き合うかどうかもわかっていないのにねぇ』と言うので、『私のぶんはお支払いしますよ』とお金を出したら、それを受け取りました。付き合うかどうかわかっていないのではなく、絶対に付き合いません!」
などと、払えない男に対して、女性たちは手厳しかった。
癒し系の話し口調が功を奏した?
そんななかで、筆者の会員にこんな女性がいた。
たかえ(41歳、仮名)は、2023年の3月から活動を始めたのだが、お見合いをすると、必ず男性から“交際希望”がきていた。あまりの通過率のよさに最初は筆者も驚いていた。癒し系の話し口調が功を奏しているのかと思っていたら、実はそこには彼女の独自の気配りがあったのだ。
「お見合いで、まだお付き合いするかどうかわからないうちにお茶をご馳走になるのは申し訳ないので、お見合いするラウンジのコーヒーの値段をネットで調べて、それと同額ぐらいのコーヒーチェーン店のコーヒーチケットを持って行って、帰りにお渡ししているんです」
「お茶代は男が払って当然」という顔をしている女性たちが多いなかで、たかえのこの気遣いは、男性の心を捉えたのだろう。
また、こんな女性もいた。
みやこ(37歳、仮名)は都内在住なのだが、見合いしたよしお(38歳、仮名)は、東京駅まで2時間かかる隣県の地域に住んでいた。見合いを終えたときに、みやこがよしおに言った。
「今日は、遠方から電車代をかけてきてくださったのですから、お茶は私にご馳走させてください」
見合い後、男性からはすぐに交際希望が来て、相談室からのメッセージには、「優しい気遣いがとてもうれしかったようです」と記されていた。その日のお茶代は男性が支払ったというが、みやこの申し出に優しさを感じて、“こんな女性と結婚できたら幸せでないか”と、男性は感じたのだろう。
最近では、お付き合いに入ってからも、デート代はすべて男性が出すのではなくて、男性6女性4、男性7女性3というふうに女子割にして付き合うカップルが増えてきている。また、“男が出して当然”と思っているタイプよりも、自分も支払おうとする女性のほうが、成婚を決めていく。
“パパ活女子”や、2023年はパパ活をもっと悪質にした“いただき女子”が話題になった。そうした女性たちは無料や安価の婚活アプリを拠点に、男性をひたすら財布がわりにする活動をしている。
そうした女子たちがマスコミにはセンセーショナルに取り上げられがちなのだが、結婚相談所で活動する人たちのお財布事情は、もっと堅実路線に変わりつつある。
その傾向が2023年はさらに強くなったと、筆者は感じている。
女性もプロフィールに年収を書く
結婚相談所に入会するには、必要書類の提出がある。独身証明書、身分証明書、短大卒以上は卒業証明書、資格を有する職業の人は資格証明書、収入証明書だ。
この中で、収入証明書に関しては男性の提出は必須だが、女性は任意だ。
公開されるプロフィールにおいても、男性は必ず年収を記載するのだが、女性は任意なので公開していない人が多い。このあり方も2023年には変わってきて、年収を記載する女性が増えてきた。
実際、年齢が上がるほど、収入が記載されている女性のほうがお見合いを組みやすい傾向にある。
筆者の相談室に57歳で婚活している対照的な女性がいた。みき(仮名)はパートで働き、年収は170万円。年収をプロフィールに記載しないで活動していた。一方、よりこ(仮名)は大手メーカーに勤めていて、年収が750万円。こちらは年収証明を提出してもらって、年収を記載した。
まったく同じ年齢で、どちらかといえばみきのほうが見た目が華やかで美人だった。ところが、よりこのほうが圧倒的にお見合いが組めた。申し込み数でいうと、3倍近くよりこのほうが多かった。
女性が57歳だとお見合いの対象になるのは、50代、60代の男性だ。
2023年を振って返り思い出すのは、物価の高騰だ。総務省から毎月、消費者物価指数が発表されるのだが、2023年11月の消費者物価指数は、2022年11月と比較すると、2.5%上昇している(2023年12月22日公表)。
食料品、日用品は軒並み値上げされ、電気代も高騰した。
さりとて、給料が大幅にアップしているわけではない。50代後半になれば定年も見えてきている。再雇用で働けば給与は下がるし、定年後の年金もどうなるかわからない。先行きが不安な時代だ。
そんななかで結婚するなら、夫が1馬力で働く家庭より、夫婦が2馬力で働く家庭を男性は望むようになる。男性にとって女性の収入がプロフィールに記載されているほうが、結婚後の生活イメージがつきやすい。また、高年収の女性だとそのお金を男性が当てにできる。
これはなにも50代以上に限ったことではない。
若い世代も結婚後に共働きを希望する男性が多くなった。女性も、収入をしっかり得ている人ほど、結婚後も働きたがる。男性のお金で慎ましやかにやりくりをするのではなく、自分の稼いだお金をプラスして、余裕のある暮らしをしたい思う人が増えているからだ。
ワンオペ育児を敬遠する女性たち
そんな世の中の流れのなか、結婚相談所の男性の自己PRのところに、よく目にするようになった言葉がある。
「1人暮らしも長いので、家事は一通りできます」「自炊しているので料理は作れます」「結婚後の家事と育児は、分担します」
ひと昔前は共働きをしていても、家事と育児は女性の負担が大きかった。「結婚したら、仕事に加えて家事や育児がのしかかる。夫は手伝ってくれてはいるが、7割以上は私が担っている」そんな声も多かった。
しかし、今は家事や育児を男性がサポートするのではなく、平等に分担する時代になった。それを見合いの席で打ち出さないと、お断りされる原因になる。
みゆき(25歳、仮名)が、さとし(33歳、仮名)と見合いしたときのことだ。さとしは医師で、1500万円近い年収があった。彼の開口一番が、この発言だった。
「結婚したら仕事は辞めてください。家をしっかり守って、子育てに専念してほしいです」
この言葉を聞いて、「この人との交際はお断り」と、開始5分で思ったという。みゆきは筆者に言った。「年収があればいいってもんじゃないし、『仕事はやめてください』って、上から目線で言われたことにもカチンときました」。そして、こう続けた。
「年収が高かったから、ちょっと目がくらんだけど、イコールな立場で話し合いをしたり、家庭生活をしていけたりする人でないと、私は結婚ができない。それが今回のお見合いでよくわかりました。世の中には、専業主婦になりたい女性もいるかもしれないけれど、私は結婚後も働き続けたいです」
また、こんなケースもあった。
外資系で働くちえ(38歳、仮名)は、大手メーカー勤務のとしお(40歳、仮名)とお見合い後、お付き合いに入った。
「これまでお会いしたなかでは、一番話が合うかもしれない」と言っていたのだが、そんな折、ちえにヘッドハンティングの話が舞い込んだ。ちえとしてはキャリアップのチャンスだったので、転職の話をとしおにした。
最初は「ヘッドハンティングなんてすごいですね」と言っていたとしおだったが、ちえが「ただ、そうなると仕事が今よりも忙しくなると思うんです。でも、家電を充実させたり、食材宅配サービスを利用したりしたら、家事も時短できるかなと思っています」と言った途端に、としおの顔色が曇ったという。
このデートの後、ちえは「としおさんとは、交際終了にします」という連絡を入れてきたのだが、そのときに終了理由をこう語った。
「としおさん、今もご実家暮らしで、帰ると美味しいご飯が待っている。私は、ずっと仕事を続けたいから、無農薬の野菜をスーパーで選んだり、無添加の調味料を使ったり、一から出汁をとったりする料理は、とてもじゃないけど作れないと思いました」
敬遠される実家暮らしの男性
最近の婚活市場では、母親に手をかけられて育った男性、実家暮らしの男性は、女性たちから敬遠される傾向にある。
なかには「実家暮らしの男性とは、お見合いをしません」と最初から決めていて、来た申し込みも自分からかける申し込みも、親と同居か、1人暮らしかをチェックしている女性もいる。
これが50代以上の女性になると、男性が親と住んでいて、結婚後の同居が、“相談”の欄にチェックが入っていたりすると、男性の親の介護がちらつくのか、見合いを受けない人が多い。
先の見えない時代だからこそ、結婚にも昔とは違う価値観が生まれてきている。男が家庭の経済を担い、女性が家庭を守り子育てをしていくという考え方は静かに終わろうとしている。
事実婚や夫婦別姓の話題も、国会で取り上げられるようになった。男だから、女だからという考え方ではなく、ジェンダー平等、パートナー同士が同等な立場で向き合える結婚が、これからはますます主流になっていくような気がしている。
今や、結婚は個人が選択する時代だ。個人としてしっかりと地に足をつけて立っている人が、男女ともにパートナーとして選ばれていくのではないだろうか。
鎌田 れい:仲人・ライター
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