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「男らしさ」がしんどい若者たち。「女性より稼いで当然」「デートもリードすべき」と言われても

オールアバウト / 2024年4月18日 20時40分

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世界各地で、若者の「保守化現象」が進んでいると言われています。その背景とともに、婚活現場の実態をお伝えします。

イギリスで実施された世論調査によれば、Z世代(16〜29歳)の男性は、団塊世代の男性よりも「フェミニズムが利益よりも害をもたらした」と信じる傾向が高く、その割合は60歳以上が13%だったのに対し、Z世代では16%。

英紙ガーディアンは、この結果について「予想外」とし、イギリスの若者の4人に1人が「女性よりも男性であることのほうが難しいと考えている」と報じました。

世界各地で20代男性の保守化が進んでいる?

また国際的な世論調査機関「イプソス」の世論調査では、「性の平等が過度に促進されたことで、男性が差別を受けている」と考える男性の割合は、団塊世代からX世代、ミレニアル世代、Z世代まで43%→53%→57%→60%と拡大し、「逆差別」を感じる男性の割合はZ世代が60%で最も高いとしています。

調査対象が先進7カ国や韓国、インドなど31カ国の成人(18歳以上)男女2万4269人であることからも、一部の国と地域に限らず世界各地で20代男性の「保守化現象」が進んでいると言えそうです。

その背景には、女性への不公平感や恐れがあり、結果的に恋愛やコミュニケーションを避けたがる傾向は婚活現場においても実感があります。

「失われた30年」で女性の権利は向上、男性の権利は?

筆者がアパレルの人材派遣会社を設立したのは約30年前。その後、リーマンショックを期に事業転換をして結婚相談業を始めました。その間、日本経済は失われた30年を経て今に至り、日本は先進国で唯一「賃金が上がらない国」となっています。

そこで起こったのが「男社会」の崩壊です。

経済の停滞や労働力不足で女性の社会進出を推し進めてきたものの社会のほうが対応できず、どんどん不具合が出てきました。人は環境や価値観を変えずに済むほうを選びます。もともと権力を持つ側にいた男性は、よくも悪くも変わらない、もしくは変わる必要がなく「保守化」がデフォルトになってしまいやすいもの。持てる者ほど手放したがらず、保守しようとするのは当然でしょう。

日本人女性の権利獲得は今なお世界に大きく遅れをとっていて、大企業をはじめ組織の中は依然として男社会です。男性と肩を並べて社会的地位をつかみ取る先進的な女性たちによって女性全体の底上げが進んできたように、社会や組織の在り方が少しずつ変化しはじめている現在。まさに過渡期と言えます。変化の波が個人から組織へ拡がりつつあるからこそ、揺り戻しが起こっています。

もう1つ、女性側が持っている「保守的なジェンダー観」にも、男性が生きづらさを感じるポイントが内包されています。

これって「逆差別」では? 男性が婚活で感じる生きづらさ

女性に「女らしさ」を求めてはダメでも、男性に「男らしさ」を求める社会の息苦しさは婚活現場にもつまり、「男らしく」「男なんだから」というジェンダーの押し付け。それが女性に向けられるものと不均一であるからこそ、「逆差別」を感じる結果となっています。

昭和世代にとっては当たり前だったハラスメントが、女性に対しては是正され改善されつつあるのに、男性に対しては今も普通に存在しています。

職場で「女らしくしないと」「女の子なんだから」「女のくせに」と言えば誰もがセクハラだと感じますが、逆だったらどうでしょう?

「男なんだから力仕事はお願いね!」「こんなこともできないなんて、男らしくないわね」といった表現は、伝統的な日本企業ほど当たり前に言われ続けているのではないでしょうか。

婚活現場にも多い「男が稼いで当たり前」という考え方

婚活現場で言えば、「男性は、女性より稼いで当たり前」「妻を働かせるのはダメだし、仕事を制限するのもダメ」「男性がデートをリードすべき」「男性は女性より早く待ち合わせ場所に着くのが当然。女性より遅いなんて遅刻と同じ!」などと男性に要求する婚活女性も、実は少なくありません。つまり、

「高収入で多忙でも、デートはリードして。もちろん家事育児は主体的に取り組んでほしいから、実家暮らしのマザコンはNG。女性の働き方は決めつけず、働いても働かなくてもいいと言ってほしいし、私の収入をアテにしないでほしい。男なんだから、私好みのおもてなしを」

……というふうに、女性の権利は得た上で相手にも男らしさを求めるわけです。「新旧いいとこどり」の主張では、男性が「生きづらさ」を感じるのも無理はありません。

女性は強く、男性は弱くなったというのは確かに感じることではありますが、親世代や古い時代の価値観と比べても互いがつらくなるだけ。男女の役割を固定せずに、2人で1つの家庭を運営するために、どちらか得意なほうがやるためのすり合わせをするのが「婚活ジェンダーフリー」の始まりです。

その際には、TAKEではなくGIVE、そしてAND YOUを合言葉に、「私はこれはできます、あなたはどうですか?」と話し合っていくことが重要です。

男性育休の取りづらさは、女性が払ってきたコスト回収

共働き世帯が7割を超えて久しい今、女性の非正規雇用率は高いものの「夫が働き、妻が家庭を守る」という夫婦の在り方から、「夫婦共に働いて協力して家事・育児をする」という在り方に変化しつつあります。

婚活現場では、妊娠出産から育休まで話し合いますが、男性育休の取得について詳しく話し合う様子も見かけます。

最近ご成婚したカップルも、 夫婦で子どもが1歳を過ぎるまで育休取得するとのこと。また年収2000万円の女性医師が産後1カ月程度で職場復帰する傍らで、ホワイト企業勤務のパートナーが1年の育児休業を取った例もありました。現在45歳で3子を持つフリーライターの知人女性は、同じ歳の会社員夫が長期育休を取得して10年以上にわたり主夫をしているそうですが、とても幸せな家庭を築いています。

人事制度として存在していても、企業や部署レベルで男性育休への取り組み方や推奨する度合いが異なります。長期育休を取得しようとした男性が現場で肩身の狭い思いをしたり、「取ってもいいが、出世の道は諦めろ」と暗に言われるケースもあるそうです。

これは今まで女性だけが払ってきたコストでもあるので、男性と分け合うべき苦悩とも言えます。女性が産後のキャリアを諦めざるを得なくなるマミートラックの男性版です。将来的になくなることを願いますが、現在は妻側が「私が稼ぐから、 私たち2人なら大丈夫!」と収入の柱となることをいとわない姿勢を取る必要も出てきています。

男女ともに自分の選択に覚悟を決め、古い「男社会」の悪い部分を崩していくことで、男女ともに存在する生きづらさを解消できるのではないでしょうか。

この記事の筆者:植草 美幸
結婚相談所マリーミー代表。恋愛・婚活アドバイザー。ラジオやWebメディアも含め、年間約2000件の恋愛・結婚相談を有し、自身が代表を務める相談所では年間成婚率80%を達成するなど業界異例の成果を誇る。『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)をはじめテレビ出演多数。著書に『ドキュメント「婚活」サバイバル』(青春出版社)、『結婚の技術』(中央公論新社)など。(文:植草 美幸)

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