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「離婚秒読みの夫婦」向き合うプロの超納得の助言 元家裁の調査官がカウンセラーになって伝えること

東洋経済オンライン / 2024年1月6日 12時30分

多くの人は、カウンセリングで言いたくないことを根掘り葉掘り聞かれて不利になると警戒します。そうではなく、その人にとって大事な価値観を知り、夫婦で共有することがカウンセリングの大きな目的です。自分がおびやかされることはないと安心してもらうようにしています。

――価値観を言語化してもらうのは難しくないですか? たいていの人は自分自身のことをよくわかっていないものです。

夫婦の間でいま起きている問題に焦点を当てて、その根っこにある価値観はいったいどこから来たのかを遡って聞いていきます。親からよく言われていた言葉だったり、友だちとの関係性だったりが積み重なって価値観を形成していることが多いからです。

仕事について聞くことでその人の傾向がわかることもあります。高いコミュニケーション能力を必要とする職業なのか、その職業に就いてから何が得意でどんなことにストレスを感じているのか、などです。

配偶者のことを「発達障害」だと勝手に断じる人も少なくありません。でも、カウンセリングは診断の場ではありません。お互いにとって大事なことを知り、譲り合う余地があるのかを考えることが大切です。

――理解し合って譲り合う。難しいことですね。よほど気持ちに余裕がなければできません。

そうですね。カウンセリングによって夫婦関係が劇的に変わることを期待するべきではありません。でも、お互いの非を責め合うような関係ではなくなることはあります。相手には相手の理由と事情があることがわかり、前向きな一歩を踏み出すために何をしたらいいのかを考えるきっかけにもなりえるのでしょう。

子どもがいる場合、離婚した夫婦は他人に戻ってもそれぞれが父親と母親であり続けることは変わりません。最低限の協力関係をどう作るかも冷静に考える必要があります。

ほとんどの人は、問題が起きてからカウンセリングを受け、問題が解決できないと裁判所に行きます。ちょっとした違和感が積もり積もって我慢しきれなくなって爆発した状態ですね。でも、大きなもめ事が起きる前に、予防的にカウンセリングなどを利用することをおすすめします。夫婦とは言え価値観が違うのはむしろ当然なので、お互いのことを知っておくことはストレス少なく暮らすために大きなプラスとなるでしょう。

いま起きている問題の根っこにある価値観を探る

配偶者は最大の味方だけど、生まれも育ちも異なる他人でもある。相手のことはわかっているとたかをくくっていると誤解や気持ちのすれ違いが生じかねない。

松本さんの話の中で印象的だったのは「予防」という言葉だ。自分の健康と美容には気を配っていても、配偶者との関係が健やかであるかどうかを点検して予防する人は少ない。そして、小さなズレや不満が積み重なっていく。

防げないし、防ぐべきでもない離婚はあるけれど、カウンセリングや調停を受ける前に夫婦でやれることもあると筆者は思った。松本さんの手法である「いま起きている問題の根っこにある価値観を探る」ことは自分たちでもできるからだ。相手の腹立たしい言動ばかりに注目して怒っても何も改善しない。その背景にあるものに関心を向けると解決の糸口を見つけられるかもしれない。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。

大宮 冬洋:ライター

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