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災害時のSNS「デマ・誤情報」惑わされない対策6つ 「家族・友人・知人との直接の会話」で広まる事も

東洋経済オンライン / 2024年1月6日 7時0分

災害時のデマ拡散にも大きな影響を与えている。

2022年の静岡県の水害の際には、ドローンで撮影されたとされる静岡の水害の様子を示す写真がSNS上に投稿されたが、実はそれはAIによって作成された偽画像であった。

作成者は特別な技術を持つ者ではなく、一般の市民だった。彼は「Stable Diffusion」という誰でも使用可能なサービスを用いて、この偽画像を作成していた。布団の中でスマートフォンを見ている中で、いつものように投稿しただけだとメディアの取材に答えている。

現在は過去の画像や動画がデマに使われることが多い。しかし近い将来、AI技術がさらに進歩すれば、人間の目にはいよいよ見分けがつかない偽画像や偽動画を、より容易に作成できるようになる。その結果、偽情報の数は膨大になり、社会的な混乱を一層加速させるだろう。

デマとの闘いにおいて、まず重要なのは自己省察である。つまり、私たちは容易にデマにだまされる可能性があることを自覚し、情報に対して謙虚な姿勢を保つべき、ということだ。

筆者の研究チームが行った調査では、デマを見聞きした人の77.5%が、自分がだまされていることに気づいていなかった。特に50~60代が若い世代よりだまされやすい傾向にあることがわかっている。

デマや誤情報は、SNSに親しむ世代だけの問題ではなく、すべての世代が「自分もだまされるかもしれない」という意識を持つことが重要である。

情報の検証も必要だ。

他の人やメディアがどのように報じているかを確認する、画像を検索してみる、誰が発信しているか確認する、情報ソースを確認する、などの方法がある。 情報のあふれる現代において常に情報を検証することは困難でも、情報を拡散したくなったときだけでも「ちょっと保留」して立ち止まり、確認することが肝要だ。

Xでは、誤解を招く可能性のある投稿にユーザーが補足情報をつける「コミュニティノート」機能が導入されている。これは投票で情報が追加されるため、集合知によって比較的信頼性の高い情報が提供されている。コミュニティノートの確認も情報検証方法として有効だ。

SNSに限らないデマの拡散手段

また、デマの拡散はネットだけの問題にとどまらない。

筆者の研究チームが行った調査では、デマの拡散手段として「家族・友人・知人との直接の会話」が最も多かった。また、コミュニケーション研究によれば、専門家の情報よりも身近な人の情報を信じやすいことが知られている。

そのため、身近な人からの情報でもすぐに信じるのは避け、慎重に情報を扱うべきだ。今回の災害でも、SNSで広まったデマが口コミを通じてネットに触れていない人々にまで広がるケースが起こり得る。

SNS側の対策も期待される。特にXは、イーロン・マスク氏に買収されてから、モデレーション力が弱まったとの指摘がある。

表現の自由があり、どれもこれも削除すればいいというものではないのは大前提だが、社会を混乱させる偽情報に対しては、厳格な規約の運用が求められる。偽情報を拡散しての収益化の停止も、重要な対策の1つである。

山口 真一:国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授

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