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いい、ばば…「同音重ねる地名」調べてわかる面白さ 「おお」「かか」「きき」「ヌヌ」など多数、由来は?

東洋経済オンライン / 2024年1月7日 17時0分

JR西日本の山陰本線にある飯井(いい)駅(写真:Graphs/PIXTA)

地名にはそれぞれの歴史があり、日本全国の地名の中には珍しい響きの地名も数多く存在します。地図研究家の今尾恵介氏が「いい」「ばば」のように同じ音を重ねる地名をご紹介します。

※本稿は今尾氏の新著『地名散歩 地図に隠された歴史をたどる』から一部抜粋・再構成したものです。

同じ音を重ねる地名を探してみた

子供の頃、山陰本線をずっと普通列車でたどったことがある。鉄道少年らしくひと駅ごとに時刻表や地図を見ながら駅名を確認したが、飯井駅に掲げられた駅名標が印象的だった。「いい」の仮名文字の下にローマ字表記が「I I」と記されているのだが、その字の間隔が大きく開きすぎでとても文字に見えなかったからである。

【地図で見る】山陰本線の飯井(いい)駅のある場所

同じ音をふたつ以上重ねた地名を探してみた。「ああ」から始まって「わわ」まで、『角川日本地名大辞典』のDVD-ROM版で検索すれば簡単だが、少し以前であればこの本の総索引をひたすら探すしかなかったので、つくづく便利な時代になったものである。

その結果のうち現役の地名は次の通りで、予想したより多かった。ただし検索で一緒に出てきたふたつ目が濁点の地名、たとえば加賀(かが)とか佐々(さざ)などは除外する。もちろん『角川』に収録された主に大字レベルの地名だけで小字などは含まれていないのでお含み置きいただきたい。

まずは「ああ」という地名である。「嗚呼」などあっても良さそうだが存在しない。ちなみに五十音順で日本中の地名を並べると、おそらく筆頭に出てくるのが長野市アークス(卸売センターの名称を町名に採用)だろう。もちろん今回の対象には入らないが。

「いい」は山陰本線の「飯井」以外にも

「いい」は冒頭の例以外にもある。福井県あわら市伊井・栃木県茂木町飯・新潟県上越市飯・岡山県瀬戸内市飯井の4カ所だ。彦根藩の井伊家のルーツは現在「浜松市北区井伊谷(いいのや)」なので外れる。

ところで、山陰本線の駅名になった飯井は載っていない。これは江戸期に三見(さんみ)村の枝村である飯井村と三隅中(みすみなか)村の枝村の飯井村が水無浴(みずなしえき。浴は主に山口県内で「小さな谷」の意)という川をはさんで向い合っていたため駅名は問題なく飯井となったのだが、大字名でないためここには含めない。

「おお」は茨城県つくば市大、静岡県焼津市大、和歌山県白浜町大、岡山県鏡野町大、奈良県田原本町多の5カ所。そもそも明治の町村制が施行されるまでいずれも大村(おおむら)と称していた。町村制が施行された際に村が大字に移行し、たとえば「滝村」などの通常の村名は村を外して「大字滝」となったが、「大字大」に違和感を担当者が抱いたところでは、おそらく村の字をあえて残して「大字大村」としたところが多いようだ。

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