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最新科学に学ぶ「脳の鍛え方」意外と知らないコツ 実は経験的に「当たり前」に行ってきたことだった

東洋経済オンライン / 2024年1月7日 15時0分

私たちは、休暇を取って旅に出て、見知らぬ街を散歩したり、山に登ったり海で泳いだりすることを好みますし、軽い運動をすると気持ちがリフレッシュします。最先端の脳神経科学が証明しつつあることは、私たちが普段から経験的にごく当たり前に行ってきたことでもあるのです。

野山を歩いて山菜や木苺を以前見つけた場所に行って採ったり、うさぎやイノシシを追いかけて捕まえたりしていたように活動すれば、集中力や記憶力が向上するといわれても、ピンとこないかもしれません。

しかし、繰り返し述べているように私たちの身体ハードウェアはどこまでいっても、狩猟採集民族として生存するようにプログラムされているのです。できれば自然のなかで運動をすることで、それらの脳の働きにスイッチが入るのです。

週3回以上、30分程度、息が少し上がる程度の運動習慣

脳に関するベストセラー作家で、スウェーデンの精神科医であるアンデシュ・ハンセンによると、週3回以上、30分程度、息が少し上がる程度の運動習慣をつけることが大切とのことです。

先程の研究チームによる海馬の成長を確認した持久力系運動も、実際には週3回、40分早歩きで歩いただけでした。運動によって海馬だけでなくストレス反応を抑制する前頭葉も強化され、ストレス反応が減るのです。

また、運動は、アイデアの着想を得ることにも効果があります。

思考にはアイデアや発想を広げる発散型と、それらを抽象概念等でまとめていく収束型がありますが、有酸素運動は海馬が拡張するため、発散型思考力のほうは運動で強化されるとされています。

抽象概念で収束させる思考は、まだ人類にとっても比較的新しいため、私たちが長く行ってきた運動とはまだ関係が証明されていないのかもしれません。

運動は、手軽なジョギングやウォーキング以外には、テニスやフットサル、ダンスなどの心血管系と脳を同時に使うスポーツを低から中強度で行うのが良いようです。

「脳を鍛える」目的の運動に一番効果的なこと

また10分ほど有酸素運動をした後、ロッククライミングやボルダリング等の頭を使うスポーツをすることも効果的とされています。旅先でのトレイルランニングも良いと思います。

非日常の自然環境の中で、脳に新しい刺激を受けながら、軽く汗ばむ程度の運動を30分ほどする、これが脳を鍛える目的の運動には一番効果的なようです。

逆に高強度のトレーニングは、疲労回復をするために血流が脳ではなく筋肉に向かうため学習力と記憶力の強化ができない、意識が動作そのものに集中するためあまり思考することができない、等の理由から、脳の機能向上にとっては望ましくないという方向に科学者の見解は向かっているようです。

あまり追い込まずに、少し心拍が上がる程度の運動を定期的に行う。気の赴くままに森や公園を散歩する。まずはここから始めると良いと思います。

運動の回数は毎日である必要はなく、週に2~3回30分程度でも効果があるとされています。また、筋肉トレーニングは顔と名前を一致させるなどの連想記憶が強化されるという説もあります。

健康維持の目的だけでなくストレス解消や脳の機能向上も含めて、全ては低強度の運動を週3回やることで解決するのです。

安川 新一郎:東京大学未来ビジョン研究センター特任研究員、グレートジャーニー合同会社代表

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