1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「1枚1207円」吉野家の鰻重が"高め"でも人気な訳 でかい・厚い・うまい!をかなえるこだわりとは?

東洋経済オンライン / 2024年1月7日 11時0分

サイズだけでなく、タレもいくつかの変遷をたどってきました。鰻の専門店や老舗は継ぎ足しのタレを使うことが多い一方、チェーン店で提供するうえでは衛生面から難しいと判断。

そこで、現地調査などを通して鰻の頭を焼き、旨みを抽出してタレに使っています。「発売当初は甘めのタレだったのですが、有名店を調査する中で甘みがくどくならず、キレが良いという特徴があることに気づき、徐々に近付けてきました」と羽鳥さんは話します。フードロス削減にも目を向けた工夫です。ちなみに吉野家の商品開発部には日本料理専門家が常駐していて、アドバイスを受けながら企画をしているとのこと。

吉野家といえば、牛丼に有田焼の器を使用していることでも知られます。鰻重の器には、何か工夫があるのでしょうか。羽鳥さんに聞いたところ、ポイントは四隅が直角ではなく、やや丸みを帯びていること。ご飯をかきこみやすく、洗い残しが少ないことから衛生面にもメリットがあるそうです。

高級な鰻を「日常食」として提供

製法では、「焼き」にこだわりを持っています。工場で白焼き、蒸しを経てタレをつけながら4度焼きをしているそうです。そのほか、鰻の泥抜きを2日間にわたって行うなど、随所に細かな工夫がうかがえます。

一方で、鰻丼として登場した当初は500円未満だった価格は、現在1000円超に値上がりしています。「うまい、やすい、はやい」として知られる吉野家にとって、ほかのメニューと毛色が違うようにも感じます。この点についてはどう考えているのでしょうか。

「吉野家では『日常食』をキーワードに、毎日の生活の中で楽しめる商品バラエティーをそろえることを意識しています。すき焼きや鰻といった通常であれば高級な食事であっても、手に取りやすいメニューとして提供できるように工夫を重ねています」(羽鳥さん)

昨今は鰻の減少が話題になることもあります。通年で鰻メニューを提供する吉野家では、仕入れ・加工の年間計画を立て、サプライヤーと綿密に調整することで安定供給を実現しているとのこと。バイヤーが定期的に味・品質を確認してフィードバックすることで、「日常食」としての鰻を提供できています。

社内外、国内外を問わずに人気 「鰻恐怖症」の筆者も安心の一品

今回は、吉野家の鰻重をテーマにしました。昨今はインバウンド客からの人気も高いといい、とくにアジア圏からの観光客がよく注文しているそうです。通常店舗でもQRコードを読み取ることで外国語メニューを閲覧できますが、浅草・有楽町などインバウンド客が多い約100店舗では専用のメニューを用意するなど、対応に力を割いています。

さらに、社内からの人気も高いとか。羽鳥さん自身、店舗で働いていたころにまかないとして食べており、まかない人気が高すぎて「禁止令」が出たほどだと笑いながら振り返りました。

筆者個人としては、骨が目立たず食べやすい点もすばらしいと感じました。余談ですが筆者は、学生の頃に鰻の骨が喉に刺さり、大きな病院で鼻から内視鏡を入れて除去してもらった経験があります。それから何となく鰻に対しては恐怖があったのですが、今回は安心して食べられました。吉野家にとって珍しい「うまい、たかい、はやい」メニューですが、それでも納得できるこだわりと品質が感じられた一品です。

鬼頭 勇大:フリーライター・編集者

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください