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健康ブームでも「野菜ジュース」が売れないナゼ 復活のカギは「わかりやすさ」と意識変容

東洋経済オンライン / 2024年1月7日 8時0分

同様に3つの機能性をうたうカゴメの「野菜一日これ一本 トリプルケア」も、売り上げは好調だという。

カゴメが販売する野菜飲料の中で好調なのが、トマトジュースだ。2023年1月から9月までの売り上げは、前年同期比で2桁以上増加したという。同社のトマトジュースの大半は機能性表示食品で、「善玉コレステロールを増やす」「高めの血圧を下げる」といった機能性を明示する。これらが50代を中心としたメタボ予防目的の中高年層に支持されているようだ。

積極的な情報発信も大きなポイントとなる。例えばトマトジュースに含まれるリコピンには強い抗酸化力があり、紫外線による肌の赤みや色素沈着などの皮膚ダメージを予防・軽減する効果が期待できる。こうした研究結果をホームページ上に数多く掲載し、商品の価値を根拠とともに訴求している。ここ数年は、リコピンが美容健康意識の高いインフルエンサーから注目を浴びたことで、20代、30代の購買層も増えている。

今後はにんじんに含まれるベータカロテンの価値訴求にも力を入れる考えだ。にんじんは多くの野菜飲料の原料として使われる。そこに含まれるベータカロテンには、肌の表面にシミとして現れる可能性のある「隠れジミ」の予防効果が期待できる。「野菜飲料は他飲料と比べ情報発信の面で努力不足だった。いかに具体的な価値を伝えていけるかが重要だ」(カゴメの西村氏)。

さらに取り組むのが、野菜を摂取することに対する啓蒙活動だ。野菜飲料の需要回復には商品を磨くことも重要だが、前提として、消費者が「野菜を摂りたい」という意識を持つことが必要となる。

厚生労働省によれば、同省が推奨する1日の野菜摂取目標量350グラムに対して、日本人の1人当たり平均野菜摂取量は約280グラムにとどまる。しかもこの目標は、直近の2019年調査までの10年で1度も達成されておらず、摂取量も横ばい程度が続く(厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」)。

一方、カゴメと伊藤園はともに「“自分には野菜が足りている”と思い込んでいる人が多い」との認識を持つ。そのため両社は、消費者の意識を変えるために試行錯誤する。

約30秒で推定野菜摂取量を表示

そこでカゴメが生み出したのが、野菜摂取量測定機「ベジチェック」だ。手のひらをセンサーに当てると皮膚に蓄積したカロテノイド量が測定され、約30秒でタブレット画面上に過去2~4週間の推定野菜摂取量が表示される。12段階で野菜摂取レベルが判定され、自分に野菜が足りているか否かが簡単にわかる仕組みだ。

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