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JR各社の「保守革命」、作業ロボット開発の現在地 人型ロボは実用化目前、リニア新幹線向けも

東洋経済オンライン / 2024年1月8日 6時30分

橋梁の下部に高重量物を取り付ける場合、クレーンでは取り付け位置まで吊り上げることができないため、デッキリフトで一定の高さまで上げた後、人が高重量物と橋梁下の位置を調整して取り付けている。人機GSPはデッキリフトに搭載し、人に代わって微細な調整を行い、作業効率を向上させる。また、墜落や感電の危険を伴う柱上の配電線や変圧器などの工事での活用も期待される。

また、川崎重工業のヒューマノイドロボット「カレイド」をベースに、人機一体の力制御技術を融合した二足歩行ロボットの全身遠隔操作システムの開発も進めている。金岡社長は「鉄道用途はもちろん、有害物質が懸念される危険な環境など人が行うことが危険な場所での作業を想定している」と話す。

鉄道技術展では日本信号が実用モデルとして零式人機2.0をベースに開発中の「製品試作機」が屋外に展示された。この製品試作機は人型ロボットが「洋服」を着ているのが特徴的だ。「屋外作業を考慮した防水、防塵目的のための着用」と日本信号は説明し、「本品は試作機なので、製品版ではカラーやデザインも多少変わることとなる」という。

ここでは、樹木の伐採、ボルト締め、ブロックの組立作業などさまざまなデモンストレーションが実施された。JR西日本が営業線で実用化する際には、1台だけというわけにはいかない。日本信号の塚本英彦社長は「複数台を製造する」と話す。

1機あたりの価格についても検討項目だ。零式人機ver.2.0はアイデアやコンセプトが実現可能か、どの程度の効果が得られるかを検証するために開発された試作機であり、その製造費用については「開発のための費用もあり、いくらかかっているか想像もつかない」と人機一体の金岡博士社長は話す。製品試作機では、量産化が容易になるよう製造工程を工夫しているほか、製造コストの削減にも取り組んでいる。

JR西日本は「2024年度中の実用化・営業線への導入を目指す」としている。2022年4月時点では「2024年春の実用化・営業線での導入を目指す」としていたので、時期が少し後ろ倒しされたが、導入されれば鉄道の保守作業の現場を革命的に変えるインパクトを持つだけに、期日を急ぐあまり拙速は禁物。開発には万全を期してほしい。

JR東海はトンネル検査ロボ

2023年9月26日、JR東海は開発中のトンネル検査ロボットを愛知県小牧市にある同社の研究施設で報道公開した。敷地内に設置された長さ約10mの試験トンネルの中に、大型トラックが停められており、荷台にロボットが据え付けられている。零式人機のような人型ではないが、高所での作業を想定しているという点ではJR西日本と同じだ。

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