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避難所に「ペットと同伴」の必要性を改めて考える 同伴避難に取り組む地域もあるが、課題は多い

東洋経済オンライン / 2024年1月10日 11時0分

ペットを理由に避難を躊躇しないよう、国はペットとの「同行避難」を推奨しています。「同行避難」とは飼い主がペットと共に安全な場所まで避難するまでの行動を指し、「同伴避難」とは飼い主がペットと共に避難したうえで、避難所でペットを飼養管理することを意味します。

ただし、「同伴避難」を受け入れる避難所でも、飼い主とペットが必ずしも同室で過ごせるとは限りません。飼養環境は避難所などで異なります。

「同伴避難」が可能な動物は、犬・猫・そのほか家庭における愛玩動物とされていることが多いので、自治体の避難所運営マニュアルなどで自分の地域のルールを確認する必要があります。

国は2013年に「同行避難」を推奨する「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を策定しています。1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災では、飼い主がペットを連れて避難所に入ることを断られるケースが相次ぎました。ペットと共に自宅に戻り津波に呑み込まれた人や、避難をためらいペットを抱きしめたまま亡くなった人がいました。

熊本地震では、ペットを飼う被災者の多くが車中泊で避難生活を送っていたことが、熊本県が震災後に行った被災者アンケートで判明しています。

当時筆者が取材をした際には、ペットの存在を理由に避難をせず地震後に建物が倒壊して亡くなった人や、ペットと避難できず喪失感から生きる気力を失い自死した人もいました。飼い主の気持ちを考えると、犬や猫と共に暮らしている筆者にとっても他人事ではないと思いました。

こうしたことを受け、同伴避難に取り組む地域も出てきています。

愛知県犬山市は以前から同伴避難を受け入れていましたが、ペットと飼い主は別々の部屋で避難生活を送っていました。2022年12月からは市内33カ所の市指定避難所のうち3カ所で、ペットと飼い主が一緒に過ごせる「同室避難」の受け入れを開始しています。

名称を「同室避難」としたのは、ペットと一緒に過ごせることを強調するためで、ペットと飼い主は専用ルームで、他の被災者とは別に過ごすことになります。ただし、ペットは放し飼いにせず、ケージに入れるよう求めています。

そのほか、広島県尾道市でも2019年7月から、市内の指定避難所のうち5カ所をペットの同伴避難を受け入れる避難所としています。

福岡県北九州市では2023年8月に、同伴避難が可能な専用避難所を試行的に設置し、その効果を検証すると公表しました。対象は「飼い主が近くにいないと飼い犬が吠え続ける、周囲への影響が気になる等、ペットがいることによって最寄りの避難所への避難が難しい市民」です。試行期間は2023年度中で、夜宮青少年センターに40区画用意され、検証が行われています。

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