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台湾総統選挙「だから私はこの人に投票する」 台湾選挙のリアル①・三つ巴の戦いで有権者は

東洋経済オンライン / 2024年1月10日 19時0分

総統選に出馬するなら、それまでの仕事を辞めて出馬すべきだ。それなのに、韓国瑜と候友宜はあっさりと総統選に名乗りを上げた。しかも、落選しても市長職に戻ることができる。立候補者にとって失うものはない。それを考えると、票を投じた支持者、有権者は政治の犠牲者ではないか――王さんはそう思う。

実際、高雄市民は後に韓国瑜市長を住民投票で罷免した。しかし、国民党は今回、彼は立法委員選挙の比例代表名簿のトップに置かれている。

そういった既成政党の姿に失望感が高まる中、柯文哲が急浮上した。現状に不満を募らせる若者層から大きな支持を得た反面、政治志向が固まっている50歳以上の有権者は柯文哲に好感を寄せていない。

「女性への差別発言を繰り返す柯文哲が嫌い」

2014年の地方選挙当時、柯文哲は民進党の支援を受けて出馬したのに、その後国民党側に近づき、さらには今回の総統選挙では候友宜と候補単一化まで交渉した。

結局候補単一化は霧散したが、第3勢力と称して既存政党を批判しながらも、その既存政党の1つと協力しようとした行動には、「軸がない」という批判がつきまとう。

こんな柯文哲を見て、かつて支持していたものの「柯黒」と呼ばれる「アンチ柯文哲」になってしまった有権者も少なくはない。

「2014年のひまわり学生運動当時、台湾大学病院の医師だった柯文哲がこれを応援しようとした。柯文哲はデモに参加した学生を支持し、台湾経済の脱中国化を主張し、さらに運動の核心的な価値について認める態度を示した。だから私も柯文哲を支持した」

台北市出身の劉丞衛さん(28)は10年前の自分のことを思い出していた。しかし、市長当選前からの発言に劉さんの心は揺れ始めた。

「ある職業で女性の数が増えれば、その仕事は没落することは立証されている」(2014年9月8日)

「数字をみると、台湾ではまだ結婚していない女性が男性よりも多い。変だ。われわれはすでに30万人の外国人女性(国際結婚)を『輸入』したのに」(2015年3月7日)

「日本人女性は比較的かわいいようだ。なぜなら化粧しなければ外出しないからだ。台湾では、一部女性が化粧をしないまま外出しており、人々を驚かせている」(2018年10月20日)

このような女性差別的発言は、当然、批判を招いた。劉さんの支持も揺らいだ。「こんな発言を聞いて、柯文哲の性差別に対する態度がわかった。これは違うぞと、思うようになった」と劉さん。しかし、それ以上に劉さんを怒らせる発言が柯文哲から飛び出した。

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