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42歳で「環境ベンチャー」妄想を叶えた彼の情熱 NYで上場を目指すJEPLAN、岩元会長に話を聞く

東洋経済オンライン / 2024年1月12日 10時0分

いらなくなった綿素材の衣類からバイオエタノールをつくる……。画期的なリサイクルだが、岩元さんにとっては壮大なビジョンのほんの一歩に過ぎなかった。

JEPLANが目指すのは、あらゆるものを循環させる「循環型社会」。私たちの身の回りには、プラスチックやペットボトル、繊維生産量の約6割を占めるポリエステルなど、石油からできたものがあふれている。

それらをゴミとして捨てずに再生すれば、新たに石油などの地下資源を使うことなく、CO2排出量も抑えられる。地球環境にやさしく、地下資源をめぐる争いのない平和な世界につながる、というのが岩元さんの持論だ。

石油由来とほぼ同品質の原料に再生

現在、JEPLANグループが運営する工場は国内に2つある。1つは2018年同社グループの一員になったペットリファインテクノロジー。神奈川県川崎市に東京ドーム約1個分もの敷地があり、使用済みのペットボトルをPET樹脂に再生。年間最大2万2000トンの製造能力を有し、飲料メーカーはこのPET樹脂から再びペットボトルをつくる。

もう1つは、北九州市にある北九州響灘工場。2017年に稼働を始めたこの自社工場では、回収した衣類などのポリステル繊維から再生ポリエステル樹脂を製造。年間最大1000トンの生産能力があり、パタゴニアやスノーピーク、ノース・フェイスなどのアパレルブランドも、この再生ポリエステル樹脂を使用して製品をつくった実績がある。

「現在、ペットボトルリサイクルの主流の技術では、リサイクルの過程で不純物を完全には除去しきれないため、同じペットボトルにリサイクルできる回数に限度があります。しかし、私たちが開発した独自のケミカルリサイクル技術は、ペットボトルや衣類に含まれる染料や不純物をきっちりと除去できるため、石油由来とほぼ同等品質の原料に何度でも再生できることが最大の強みです」と岩元さんは力を込める。

そもそも循環型社会は、リサイクルの技術があっても、いらなくなったものを回収するモデルがなければ成立しない。

回収には、企業や消費者の参加が欠かせないのだ。創業当初、名もなきベンチャーの岩元さんは「いろいろな人に思いを熱く語り続けても、なかなか相手にされなかった」という。

しかし、2009年に経済産業省の外郭団体のリサイクル調査事業に採択されたことが突破口に。多くの大企業を巻き込んだ調査で「小売店の店頭で衣料品を回収すると、集客と売り上げの両方にプラスの効果がある」という結果を得た。

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