1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

仏、歴代最年少「34歳新首相」が誕生した納得の理由 政界入り10年でスピード出世したエリートの実像

東洋経済オンライン / 2024年1月12日 7時50分

フランスの首相になったガブリエル・アタル氏(写真:ロイター/アフロ)

大きな変化の波が押し寄せているフランス

フランスのマクロン大統領は1月9日、辞任したボルヌ首相の後任として、国民教育相だったガブリエル・アタルを新首相に任命した。アタル氏は34歳で、歴代最年少の首相だ。政界入りして10年で首相の座に上り詰めた。

フランス政界では近年、史上初、歴代初の記録の塗り替えが続いており、フランス大革命を断行したDNAを感じさせる変化の波が押し寄せている。

アタル氏を任命したマクロン氏自身が、2017年に史上最年少の39歳で大統領に就任。マクロン氏が創設した中道政党、共和国前進(LREM)が同年6月の国民議会(下院)選挙で、中道右派・共和党と中道左派の社会党という既存大政党に対して圧勝し、過去にない政界再編が起きた。

その後、2022年の大統領選では、極右政党として史上最多の得票数を得た極右・国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン氏がマクロン氏に迫り、その後の下院選でRNは結党以来最大の89議席(前回8議席)を獲得した。前首相のボルヌ氏は、史上2人目の女性首相で、1991年に初の女性首相となったクレッソン氏の在任期間を上回っていた。

新首相に任命されたアタル氏は歴代最年少というだけでなく、同性愛者を公表する初の首相としても注目されている。

アタル氏は1989年3月、パリ郊外クラマールでユダヤ人家庭出身の弁護士・映画プロデューサーの父(ユダヤ教信仰はない)、ロシア正教徒でロシア貴族の血を引く母のもと、裕福な家庭に育った。

社会党出身のアタル氏は政治家や官僚の登竜門と言われるパリ政治学院卒のエリートで、24歳で保健省の名もない政務官から出発した。転機となったのは社会党を去り、マクロン氏が経済相時代の2016年に中道政党LREM創設時のスタッフになったことだった。もともと社会党内でも自由主義経済を否定しなかったアタル氏は、金融界出身のマクロン氏を支持し、2017年の大統領選勝利に貢献した1人だった。

政治的センスと弁論能力で、一気に頭角を現す

大統領になったマクロン氏は、共和党や社会党といった既存大政党を崩壊に追い込み、LREMが下院の過半数を占める圧勝で、政治地図は大きく変わった。LREMの中心的存在となったアタル氏は、仏日刊紙ル・モンドによれば、「彼の政治的センスと弁論能力により」一気に頭角を現し、2020年7月からカステックス内閣の政府報道官に選ばれた。

連日、メディアに登場する政府報道官という立場が与えられたことで、認知度は一気に高まっただけでなく、1年生議員の多いLREMの中で頭角を現し、ル・モンド紙が指摘するように優れた弁論能力で、メディアに対して、そつのない適切な受け答えを繰り返し、傲慢と批判されるマクロン氏の2022年の再選に貢献したと言われている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください