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ホンダ「ビート」軽ミッドシップオープンの衝撃 5年間の生産、短命ながら今も乗り継がれる1台

東洋経済オンライン / 2024年1月14日 7時20分

最新技術盛りだくさんの初物づくし

さらにビートはメカニズムを見ても、とても軽自動車とは思えないつくりになっている。

例えば、ミッドシップフルオープンモノコックは量産車として世界初の試みで、4輪ディスクブレーキの採用も軽自動車として初。さらにミッドシップレイアウトは、エンジンを後方に搭載する関係でリアに重心が偏りがちだが、重要配分を最適化するためにフロント13インチ&リア14インチの異径ホイールを採用し、それにあわせてサスペンションもセットアップ。そのほか、軽自動車で初のSRSエアバッグシステムの装着車を設定し、安全装備を充実させるなど、最新技術盛りだくさんの初物づくしだった。

そして、絶対的なパワーこそないが、回転上昇とともに高まるパワーフィールは、一般道路の信号発進すらワクワクさせてくれる。法定速度で走っていても、回転数は5000回転を超えてレブリミットの8500回転へ近づき、すぐにシフトアップを促される。

それを面倒に感じる人もいるかもしれないが、法定速度内で高回転までエンジンをブンまわし、小気味よくシフトアップする感覚こそが“操る楽しさ”であり、ビートの目指したところだろう。例えば、シビックやインテグラのようなVTECスポーツは、街中で高回転までブンまわすことなんてほぼないが、ビートなら一般道でそれが楽しめてしまうのだ。

1世代のみ、約5年で3万台以上を生産

ちなみにビートは、バージョンFやバージョンZなどの特別仕様車はあるが、基本的にワングレード構成で、1991~1996年までの約5年間販売された。その生産台数は3万3892台となっている。すでに生産から30年前後が経過しているが、いまだに多くの愛好家の元で元気に走っている。

さらに全国では愛好家によるオーナーズミーティングも開催され、その中でも最大になるのが『MEET THE BEAT!』というイベント。2010年に開催された同イベントでは、569台のビートによるパレードランが開催され、『ホンダ同一車種による世界最大のパレードラン』としてギネスブックに認定されている。

一方で、販売面で成功したとは言えず、たったの5年間で姿を消している。発売直後こそ注文が殺到したが、その後は注文も止まり、1代で生産終了となる。ビートの登場によってホンダの生産工場が明るくなり、見学者が増え、求人も増えたという逸話もあるが、販売面で言えば非常に難しいクルマだったことがうかがえる。

「非力」だからこその「楽しさ」がある

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