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ホンダ「ビート」軽ミッドシップオープンの衝撃 5年間の生産、短命ながら今も乗り継がれる1台

東洋経済オンライン / 2024年1月14日 7時20分

また、今回は執筆する前に、じっくりとビートに乗りたくなり、ホンダ車の純正用品を開発・生産している『ホンダアクセス』が所有している試乗車を借り、改めて乗り直してみた。自身でもビートを所有しているが、各部がヤレている部分も多いし、多少なりともチューニングもしているので、新車に近い個体に乗って再確認したかったからだ。

ちなみに対応してくれたホンダアクセス広報担当者は、なんと1992年に新車で購入してからビートに乗り続けており、ビート発売20周年記念の商品企画も担当している方だった。さらにホンダアクセス内には、ビートに乗るスタッフも多いと教えてくれた。

そんな担当者に、なぜビートに乗り続けているのか聞くと、「自分が操っている感覚と、非力だからこその楽しさがあるから乗り続けられるんですよね!」と答えてくれた。本格的なスポーツカーのような速さがないからこそ、ずっと乗っていられるというのもビート乗りらしいリアルな声だ。

ビートからS660へ

ビート生産終了から約20年後、2015年3月にホンダは、同じくミッドシップ・オープンスポーツの「S660」を発売する。基本的なパッケージングはビートと共通だが、エンジンはターボ化され、ミッションは6速マニュアルに加えてCVT(無段階変速式オートマチック)も用意された。

S660はターボエンジン化を図り、6速マニュアルやCVTを設定することで、誰もが乗れる軽スポーツカーになった。ちなみにビートは、5速マニュアルのみの設定で、高速道路ではエンジンが唸りを上げて苦しいし、オートマ限定免許では乗れなかったので、かなり尖ったクルマだった。そんなS660も2022年に生産を終えている。

ステアリングからダイレクトに操舵感

ビートとS660を比べると、生まれた年代も違うので、すべてにおいて進化していることは間違いない。ただ、ビートの開発者が追求した「操る楽しさ」は少し失われたようにも感じる。

ビートには、今では当たり前のパワステさえついていない、いわゆる“重ステ”なので、慣れていないと駐車ですら四苦八苦するクルマだ。だが、走り出せばステアリングからダイレクトに操舵感が感じられる。また速くないからこそ、街中で楽しいという感覚もビートが上のように個人的には感じる。

そんなビートは、総生産台数3万3892台のうち、2021年12月時点で全国残存台数1万7072台という報告がある。生産終了から30年近くが経過した車両だが、今も約5割が残っているというのは驚異的な数値だ。それだけビートが多くのユーザーに愛されていることがわかる。

ちなみにビートの中古車は、執筆時点で、中古車検索サイトで調べると148台ヒットした。

価格も一部300万円台というものもあったが、その多くは50~100万円程度で、中古車価格が高騰している国産スポーツカーの中では手が出しやすい個体も多い。2人乗りで5速マニュアルのみ、積載量も最低限、さらにパワステもなしと、メインカーとしては気合いのいるクルマだが、セカンドカーとしてコツコツ直しながら乗る覚悟があるなら面白い。

三木宏章:東洋経済オンライン編集者・記者

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