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韓国で超話題「スーパーエリート育成大学」の全貌 韓国版「ミネルバ大学」泰齋大の初代総長が語る

東洋経済オンライン / 2024年1月14日 11時0分

2年生から他国に移動した後は各国の社会問題を解決する「Civicプロジェクト」、例えば日本であれば高齢者問題にどう取り組んでいるかなどを考察し、活動にも参加しながら実践で学びます。

全寮制ではソーシャルバリュートレーニング、いわゆる社会から必要とされている存在価値は何かを身につけます。生活は共にしますが、授業はオンラインが主ですから、部屋でもカフェでも自由に受講できます。海外では、学生寮もしくは短期で借りられるマンションなどを利用する予定です。  

――定員は韓国人学生100人、外国人学生100人ですが、1期生はそれぞれ定員を割っています。現況とその合格基準は?

2023年4月に政府から認可が下り、学生は6月から募集しました。韓国人学生は373人の応募から27人、外国人学生は100人の応募から5人が入学しました。本校の入試は原石を選ぶためのものですから、入学申請の部署は「人材発掘部」で行い、文字通り人材を発掘します。人材がいなければ定員を満たすことにこだわりません。

合格の基準は、どんな考えやモチベーションを持っているかが重要になります。高校時代の成績と、どんな活動をしてきたかがわかる内申書で選考した後、面接に進みます。面接はグループと個人の2つに分かれ、グループでは、英語で書かれた文章を20分くらい読み込んだ後、5人ほどで討論します。

1人あたりの持ち時間は10分。これを超えると減点となります。討論する場面を録画し、教授陣が後で評価します。この後、個人面接に移り、学生が持っている考えやモチベーションを話してもらい、合否が決まります。

学生が経済的な制約を受けないように設計

――学生への多彩な奨学金プログラムは韓国の父兄の間でも話題になりました。

学生が経済的な制約を受けることがないように設計しています。学費は、韓国人学生の場合は、年間900万ウォン(約99万円)、外国人学生の場合は、1万5000ドル(約210万円)ほどです。

ただ、外国人学生の場合は、2025年まで入学している外国人学生に対しては泰齋大学の存在を広く知ってもらう目的で授業料、各都市での滞在費、スタディツアーなどすべてを奨学金の対象としています。さらに、大学卒業後に大学院に進学したり、起業する学生にはプランに応じて奨学金から支援していく予定です。

泰齋大学の1期生の中には、延世大学、高麗大学を辞めて入り直した学生もいたという。両大学とも韓国の名門だ。熾烈な競争を゛勝ち抜いた゛彼らがなぜ泰齋を選択したのか聞くと、「スタンフォードやケンブリッジなど世界有数の教授から学べる」「海外に行って学ぶ、グローバルエンゲージプログラムに惹かれた」「才能豊かで多様な文化的背景を持つ学友と学びたかった」といずれもグローバルに開かれた点を挙げていた。

韓国の父兄の間では同校の準備段階から熱い関心が寄せられており、従来にない画期的な大学だとして、「韓国の大学序列の概念を壊してほしい」「グローバルに成功してほしい」という声があがる一方で、「韓国に根づく大学序列意識をそう簡単に払拭できるだろうか」という様子見のような雰囲気もある。

学名の「泰齋」は、陰陽の調和を表す「泰」と、家を表す「齋」を合わせ、東西を調和し新たな文明を生み出すという意味が込められているという。

経済学者ピーター・ドラッカーは1997年に、「30年後は大学のキャンパスは歴史的遺物になるだろう」と予言した。急速なデジタル化は大学の在り方をどう変えていくのだろうか。

菅野 朋子:ノンフィクションライター

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