「ID.2all」の計器がビートルやゴルフになる理由 フォルクスワーゲン「らしさの追求」がここに
東洋経済オンライン / 2024年1月15日 11時30分
フォルクスワーゲンは今、全長4mそこそこのコンパクトサイズのBEV(バッテリー駆動のEV)、「ID.2all(アイディーツーオール)」の開発を進めている。
【写真】往年のビートルやゴルフようなレトロデザインのメーターパネル
正式発表はもう少し先だけれど、2023年3月から小出しに、言ってみればパズルを完成させるように、ピースを見せてくれている。3月に外観、9月に派生モデル、そして12月に内装……という具合に。
このクルマ自体とは別にもう1つ、見るべきものがある。それは「ブランドとはなにかを考えさせてくれるところ」だと私は感じている。
世界中の自動車メーカーがBEVに手を染め、しかも新しいブランドが数多く誕生している現在にあって、埋没しないために何をするか。各社の施策はさまざまで、とても興味深い。
そして、それに対するフォルクスワーゲン流の解がID.2allに見て取れる。
私は2023年12月にコペンハーゲンで、この年3度目になるID.2allの発表会に出向いた。このとき感じたのは、多くのメーカーと一線を画す、フォルクスワーゲンのクルマづくりにおけるコンセプトメーキングだ。
サイズはポロ、加速はGTI並み
ID.2allは、フォルクスワーゲンが展開するBEV「ID.」シリーズに属するモデル。大きな特徴は、「ポロ」とほぼ同じ4050mmの全長を持つコンパクトなボディだ。
パワートレインのスペックスは、最高出力166kW、最高速度160km/h、0-100km/h加速7秒、バッテリー残量10%から80%までの充電時間20分……。これらが現在まで発表された内容である。
参考までにポロGTIの0-100km/h加速が6.5秒だから、7秒というのはけっこう俊足。
「市街地にもよく合うクルマ」というのが、このクルマの特徴。もうひとつ(そしておもしろい)特徴として、「Love Brandを具現化したクルマ」だとフォルクスワーゲン乗用車部門のトーマス・シェファーCEOは言う。
「私たちは顧客に寄り添っていたいと思っており、そのためにトップテクノロジーとファンタスティックなデザインのプロダクトを具現化していきます」
そのためだろう。ID.2allは、ID.シリーズに属していながら、デザインアプローチはけっこう違って見える。
これまでフォルクスワーゲンがヨーロッパを中心に送り出してきた「ID.3」「ID.4」「ID.5」「ID.7」といった一連のモデルのなかにあって、ちょっと異色だ(ID.4だけは日本にも導入されている)。
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