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解明できればノーベル賞?宇宙で一番「熱い話」 東大教授たちも注目するダークエネルギーとは

東洋経済オンライン / 2024年1月15日 18時0分

戸谷:最近話題になっている重力波も、アインシュタインが予想したものです。ですから、我々はアインシュタインの法則が正しいということを、この100年間、確認し続けているんですね。

瀧口:アインシュタインの相対性理論に限界はないんですか。

戸谷:ダークエネルギーがまさにひとつの限界かもしれません。つまり、ダークエネルギーの正体はよくわからないけれども、あのアインシュタインの方程式に、なにか定数を入れないと説明できない。ただ、すごく不自然な値を入れるので、もしかしたら、そもそもアインシュタインの相対性理論を宇宙全体に適用するのは、やはり不十分なのかもしれない。

なので、ダークマターを説明するためにニュートンの重力理論を修正しようという話がありました。これはうまくいかなかったけど、同じように、ダークエネルギーを導入する代わりにアインシュタインの相対性理論をより高度なものに変えよう、という試みもされています。

加藤:その定数というのは、どんなものなんですか。

戸谷:それ自体は、数学的には誰でもすぐに思いつくんです。それで、アインシュタインは一度、その定数を入れたんですが「やっぱり、これいらない」といって外しています。その定数を入れると、「静止している宇宙」という解が可能になるんです。

でも観測技術がなかった当時、宇宙が実際に膨張していることがわからなくて、アインシュタインも「宇宙が膨張しているわけがない。宇宙は膨張もせず収縮もせず静止している」と思っていた。でも、自分の作った方程式を使うと宇宙は膨張してしまうので、静止した宇宙を作るために方程式を修正したんです。

そして、その数年後にハッブルが、宇宙が膨張していることを発見する。それで、アインシュタインは「やっぱり俺の最初の方程式でよかったんだ」と考えたわけです。それまで彼は、宇宙定数を強引に入れたことは自分の生涯でも最大の過ちだと言っていました。

そのあと、宇宙定数は不要だと思っていたのに、2000年以降になって精密な観測をしてみると、やっぱりアインシュタインの宇宙定数を入れないと計算が合わない、と判明しました。やっぱりアインシュタインは偉いんです。

数学者や物理学者にとっての「チャンス」

加藤:すごいですね。ということは、現代は数学者や物理学者にとっては一発当てるチャンスですよね。相対性理論では説明しにくいことが現実的に観測されている。だから「それを証明しよう」という意欲がわきますもん。

戸谷:既存の法則では説明できないことを明らかにできたら、うれしいことですね。アインシュタインの方程式で全部が説明できてしまったら、我々の仕事がなくなっちゃいます(笑)。

加藤:ダークエネルギーが解明できたら、ノーベル賞ですもんね。

江崎浩:戸谷先生の場合、ノーベル賞が取れる、取れないというより、とにかく原理を解明したいんですよ。それに全力でエネルギーを注いでいる点はすごいと思いますね。上を向いて、宇宙を向いて頑張ってほしいと思います。

戸谷 友則:東京大学大学院理学系研究科天文学専攻教授

瀧口 友里奈:経済キャスター

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