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日本製鉄、剛腕トップが新社長に託したミッション 脱炭素とグローバル化で狙うのは総合力世界一

東洋経済オンライン / 2024年1月15日 7時0分

国内鉄鋼最大手の日本製鉄。2019年に社長に就いた橋本氏は巨額赤字を計上した2020年3月期を底に業績を復活させた(写真:編集部撮影)

国内鉄鋼最大手の日本製鉄は1月12日、社長交代を発表した。4月1日付で社長の橋本英二氏(68)が会長兼CEO(最高経営責任者)に、副社長の今井正氏(60)が社長兼COO(最高執行責任者)に就く。

【写真と業績グラフを見る】1月12日の社長交代会見。昨年末に橋本氏から社長交代を伝えられた際、今井氏は「お断りする理由はない」と決意を固めた

「2019年4月に社長に就任して、何はともあれ収益力の抜本的な立て直しを公約に掲げた。ソフトとハードのいろんな改革をやった。ビジネスの環境そのものは2019年4月より悪くなっているが、収益力はまずまずまで来た。もう一段高みを目指す発射台を作ることができた」

記者会見で橋本氏はそう振り返った。

旧新日本製鉄出身者として初の「技術系社長」

2020年3月期、同社史上過去最悪となる4315億円の最終赤字を計上した日本製鉄。橋本氏は、製鉄所のシンボルともいえる高炉4基を休止(さらに1基休止を決定済み)、広島県の製鉄所閉鎖を含む国内事業の構造改革を進めてきた。

営業面では、自動車メーカーなど国内の大口顧客に対する「ひも付き価格」の交渉で、供給削減も辞さない剛腕で値上げを勝ち取り、業績をV字回復してみせた。

その橋本氏が「私をはるかにしのぐ知力、胆力の持ち主」と評する今井氏。東京大学大院で金属工学専攻修士課程を修了、マサチューセッツ工科大学大学院の材料工学博士号を持っており、旧新日本製鉄出身者として初の「技術系社長」となる。

製鉄所の生産技術に強く、名古屋製鉄所所長を務めたほか、常務として国内生産改革の具体的な絵を描いた。

「従業員に負担を強いるとか、地域社会へ影響を与えるとか、それらを踏み越えてやるべきことは何か、まずそれをいちばんに考えた計画を立案した」(今井氏)。現在は脱炭素や電炉転換プロジェクトのリーダーも務める。

今井氏のミッションは、「最大のテーマ」(橋本氏)である脱炭素に道筋をつけることだ。日本全体の約14%、国内産業部門で最大のCO2(二酸化炭素)排出源である鉄鋼産業にとって脱炭素は最重要かつ最も難しい課題だ。対応できなければ事業の存続さえ許されなくなる可能性がある。

脱炭素について、今井氏はまず「(北九州市の)八幡と(兵庫県姫路市の)広畑での電炉建設をどう進めていくかが課題だ。技術的な検討は詰まってきており、巨額の投資判断の経済性が最大のカギになる」と述べた。

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