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「スマホで操作できるEV」中国で激化する勢力争い 有力メーカー3社が独自OSをEVに搭載し話題に

東洋経済オンライン / 2024年1月16日 12時20分

新会社には国有大手の長安汽車が関連会社と合わせて最大40%出資することが決まっており、ほかにも複数の自動車メーカーが出資を計画している。地方の無名メーカーであるセレスがファーウェイの力を借りてEVメーカーにアップグレードできたことから、EVシフトに苦戦する既存メーカーの駆け込み寺としての存在感を高めている。

アップルに対抗してアンドロイド陣営が形成されたように、HarmonyOSを軸にした「ファーウェイ連合」は、2024年にBYDの対抗馬に成長する可能性がある。

魅力的なOSを持っていたことから、自動車メーカーに買収されて息を吹き返したスマホメーカーもある。

民営大手の浙江吉利控股集団(Geely、以下吉利)」の李書福会長は2021年秋、武漢市にスマホメーカー「湖北星紀時代科技」を設立し、翌2022年、スマホメーカーMeizu(魅族科技)を吸収合併して「星紀魅族」と社名を変えた。

Meizuは2009年に中国企業で初めてスマホを発売し、アリババグループから資金調達するなど、初期の中国スマホ市場を牽引する存在だったが、その後シャオミやOPPOなど後発企業に押されて衰退、2021年のスマホの国内シェアは1%を割っていた。

ボルボ・カーも傘下に持つ吉利は、Meizuが中国スマホ市場初期から独自技術を蓄積し、アンドロイドOSをカスタマイズした「Flyme OS」を開発していることに目を付けたのだ。吉利はBYDやファーウェイに対抗するために、そしてMeizuは自らの生存のために互いをパートナーに選んだ。

吉利とボルボの共同ブランド「リンク・アンド・コー」が2023年9月に発売したPHV「08」シリーズには、星紀魅族が自主開発したスマートコックピットシステムが搭載された。

Meizuのスマートフォンを持って自動車に近づくと自動でロックが解除され、車内のディスプレイにスマホの画面を映して操作できるなど、スマホと自動車の連携を売りにしている。

星紀魅族は2023年11月、自動車向けのOS「無界OS(Flyme OS)」、自動車向けソフトウェアソリューション「Flyme Auto」を吉利とボルボの共同EVブランド「Polestar」や、吉利のフラッグシップEVセダン「銀河(ギャラクシー)E8」に搭載し、さらにMeizuブランドの新車種「MEIZU DreamCar MX」を2024年に発売することも表明した。

Meizuは「自動車を操作するスマホ」に定義しなおすことで、スマホ市場でも3年後に中国5位を狙う目標を掲げている。

スマホで操作できるEVは新たな競争軸に

スマホで操作できるEVは新たな競争軸となっており、鍵の差し込み口がないEVも登場している。星紀魅族のトップは中国メディアの取材に対し、「ファーウェイとシャオミ、そして当社のOSは自動車3.0時代を代表する存在だ」と語った。

EVメーカーとスマホメーカーの融合は、スマホの世界シェアで2位だったファーウェイが凋落した後も、中国メーカーが依然として3~5位を占めているからこそ起きる事象だろう。それが中国市場に限ったトレンドなのか、あるいは自動車業界の世界的なゲームチェンジに影響するのか今後1~2年で見えてきそうだ。

浦上 早苗:経済ジャーナリスト

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