能登地震で今なお電源切れ「地上波テレビ」の限界 過疎地向け小規模中継局はなぜ復旧に遅れ?
東洋経済オンライン / 2024年1月16日 8時0分
では今後、大規模災害に備えてテレビ局が打てる手はないのか。
有効だと考えられる1つの策は、放送各社による中継局の共同利用を進めて効率化を図るなど、放送局間での連携を強化していくことだ。人口減少地域や山間部に設置する中継局のコスト軽減は業界共通の課題であり、放送局はこれまでも中継局の共同建設など実質的な協力を進めてきた。
2023年5月には、複数の放送局が中継局を共用できるように促進する関連法案が成立し、放送局の設備共用に向けた機運はさらに高まる。これを機に、1社当たりの負担コストを低減しつつ、小規模局向けの防災対策を充実させることは可能ではないか。
災害が起きた際の衛星放送の利活用も一手になりそうだ。長引く地上波放送の停波を受け、NHKは1月9日以降、BSの3チャンネルを活用し、地上波を視聴できない地域にニュースなどを届ける取り組みを始めた。
この衛星波は3月末に停波予定だった帯域で、今回のタイミングで利用できたのは、まさに「不幸中の幸い」。過去の総務省の有識者会議では、災害時に活用できる衛星波を確保しておくべきではないかといった話も出ており、今後災害対策として衛星波の活用が議論される可能性もある。鈴木教授は「レジリエントな(強靱な)備えを行うためには、衛星波などの活用も含めて放送の多様性を確保するための全体設計が必要ではないか」と指摘する。
過疎地向けの小規模局が抱える限界も浮き彫りにした、今回の震災。放送を取り巻く環境が厳しくても、災害時にこそ一部の人々が取り残されることがあってはならない。教訓をどう次の防災に生かしていくのか、今後問われることになる。
茶山 瞭:東洋経済 記者
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