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起業を夢見る家族がChatGPTを使い号泣した理由 AIに代替できない人間の「創造性」を問い直す

東洋経済オンライン / 2024年1月17日 17時0分

そしてここは、他者との大きな差別化要素になりうるポイントです。体験価値という言葉自体はすっかり定着しましたが、その中でも自らの身体を通じて得られるものの価値はさらに高まるということです。

企業活動の中でも、リサーチや実体験の価値が再定義される可能性があります。仕事の場面においても生成AIが今後多くの事前リサーチ等を画面上で完結させてくれるのであれば、本当に強くなるのは「やったことがある」や「見たことがある」という言葉の説得力なのではないでしょうか。百聞は一見にしかずです。

理想を描くことは人間の領域

これと関係してくるのが、共感性や好奇心です。「誰かのために」というのは私たち人間にとって最も根源的な動機の一つです。自発的な好奇心も同様に、人間固有の特性だと感じます。

そして好奇心や共感性というのは、人間の価値観と共に、その対象や感じ方が変化するものです。現状のAIは既存のデータやルールに基づいて動作しますが、倫理観や価値観は社会や文化の変化に応じて進化します。そうした文脈の微妙な変化に気づき、紡ぎ合わせていくのは人間の領域です。

最後に、こういったことをベースにしたときに望ましい未来、ありたい姿とは何なのか──これを考えることは、「予測」ではなく、人間の「創造的作業」であると思います。そして、このために必要なのが良質な「問いかけ」を創り出す力です。

生成AIの急拡大から半年以上経った今でも、この仮説は多方面で支持されているように思います。

実際、ChatGPT のようなLLMを使用した方はお気づきのように、一度で終わるようなやり取りでは生成AIのパワーを引き出すことは難しいのです。AIとの効率的なコミュニケーションの一つは、問いかけをしつつ、こちらにも問いかけてもらうことだったりします。

しかし、人間同士の問いかけあいと決定的に違うのは、そこには人の意思が込められないということです。自分自身や世の中のありたい姿、あってほしい姿などは、やはり人間同士でないと深まったり、飛躍したりしない。だからこそ、これからはあえて人間同士で議論することのクリエーティブな価値は高まるのではないでしょうか。

著書(『問いかけが仕事を創る』)では主に「How Might We……」という問いかけをピックアップしましたが、すでに多くの人たちがこの問いをAIに入力し、一緒にブレストをしていることでしょう。そして、前述のように「未来を想う」ようになれば、「What if the world was……」「What if wecould……」といった「What if……」という問いにシフトしていくことになるのかもしれません。

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