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恐竜学者「化石がある」ならウズベキスタンへも まさかの"ボウズ"から一転、新種の恐竜発見

東洋経済オンライン / 2024年1月17日 16時0分

発掘調査中の田中康平・筑波大学生命環境系助教(出所:『最強の恐竜』)

人気のNHKラジオ「子ども科学電話相談」で「恐竜」を担当する学者であり、大型肉食恐竜の新種をウズベキスタンで発見したことでも知られる田中康平・筑波大学生命環境系助教。

世界各地で、化石の発掘調査を行っている田中助教の新刊『最強の恐竜』から一部を抜粋し、その驚きの研究生活を紹介します。

「恐竜化石を見つけましたよ」

キャンパスの新緑が目に眩しいある日の午後、私の所属する専攻の留学生、オタベック・アンワロフ君が私の研究室を訪ねてきた。恐竜化石を見つけましたよと言いながら、1枚の写真を見せてくれた。

【写真で見る】地中層で骨のように見える黒い物体は、本当に恐竜の化石なのだろうか?

最初、私はナンノコッチャと思ったのだが、そこには確かに、恐竜の化石っぽいモノが写っていた。薄い赤茶色の砂岩の中に黒いシミのように埋まって、細長い物体の輪郭が確認できる。太ももの骨に見えなくもない。

一緒に写ったハンマーの倍ほどの長さだから、それなりに大きい動物のものだろう。ほかにも脊椎のような形をした物体が散らばっている。化石はまだ現地に残されているらしい。ほ、ホントに恐竜なのか⁉ 骨化石の研究はあまり経験がないけれど、これは重要な発見かもしれない。

そこからが早かった。5か月後の2019年10月、私はフェルガナ盆地に降り立った。

〝ダイナソー小林〟先生こと、北海道大学の小林快次博士にも同行してもらった。小林先生は百戦錬磨のフィールドワーカーであり、私が大学4年生の時の指導教官だったから、とても心強い。慣れない野外調査でも、小林先生がいてくれれば安心だった。

舗装されていない悪路を走ることしばらく。薄い赤茶色の岩石が広がる荒野で車は止まった。「ここです、ここです」と興奮気味に駆けるオタベック君の後を追う。

化石が見つかったスポットには、確かに黒い塊が散乱していた。しかし、小林先生とじっと観察してびっくり、オタベック君の見つけた「恐竜化石」はなんと、木の化石だったのだ。

骨のように見えた輪郭は木の幹だった。私とオタベック君は心底がっかり。ウズベキスタン恐竜研究ドリームは目の前でパチンと消えた。現実はそんなに甘くないか……。オタベック君は化石の専門家じゃないから、責めることはできない。

しかし、「ああ、間違いをしてしまった」と思わないのがポジティブ思考の恐竜学者。その筆頭である恐竜研究のトップランナー、小林先生はこう言った。

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