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能登半島地震の甚大な被害はなぜ起きたのか 対岸の火事ではなく考えたい「立地のリスク」

東洋経済オンライン / 2024年1月17日 7時40分

それらの中には全壊、大規模半壊に相当するとみられる傾斜・沈下が生じている物件も含まれているとみられます。筆者が石川県内灘町の現地を調査したところ、それらの中には、現行耐震基準の住宅も含まれていました。地盤の液状化による被害は、耐震性能と関係ありませんので、耐震性向上で防ぐことはできません。

■土砂災害による被害

能登半島は、地形的にみて急峻な山地地形が多い地域です。穴水町などでは、複数の地点で住宅が土砂災害によって崩壊する被害が生じました。

それらの動画、画像の確認では、急傾斜地の崩壊(崖くずれ)による被害が多いようにみられました。近年の土砂災害では、土砂災害(特別)警戒区域付近での被害も多く、指定されていない区域でも豪雨や地震時には急傾斜地の崩壊などに注意を要するといえます。

能登半島北部は積雪地であり、すでにこれまでの地震で地盤にひび割れや緩みがあるところも多いと考えられます。今後の積雪や融雪により水分が供給されることで、土砂災害につながりやすくなることに注意が必要です。

立地のリスクを正しく知る

能登半島での被害は決して対岸の火事ではありません。トイレ不足や足りない救助など、南海トラフ巨大地震や首都直下地震が発生した際は、都市部のあちこちで同じようなことが起き、場合によっては人口密集地においては、より大きな被害となるでしょう。

今回の金沢市周辺の市街地の緊急調査からも、同じ自治体の中、あるいは同じ学区でも被害がまったくない家もある一方、自宅は住めない状況になっているということが発生しています。立地に関するリスクを見落とすと、地震や大災害時に住み続けられなくなります。

まずは立地のリスクを正しく知って、どのようなときに避難する必要があるのか、ないのか。住宅の耐震性は十分か、関心を持って自ら調べて、知ってほしいと思います。

液状化地域であれば建築前に調査や対策を行う、新築する際には、住宅性能表示制度で最も高いレベルである「耐震等級3」の家を建てる、既存住宅であれば耐震診断・耐震補強をすることで、まず我が家の倒壊で命を失うということもなくなるでしょう。

液状化リスクは、①地形区分(液状化が起きやすい地形か)、②過去の液状化の履歴、③過去の土地利用履歴(水田や沼田、海や湖沼だった場所はリスクが高い)、そして、あれば④自治体が発表している「液状化ハザードマップ」、の4つのステップで、液状化の詳細調査(地盤調査)および液状化対策工事を行うかどうかを判断するといいでしょう。

その次に、ケガをしないための家具配置や間取り、そして家具の固定というステップが必要なのです。

横山 芳春:だいち災害リスク研究所 所長・地盤災害ドクター

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